SNPC69 潮干狩り

四季ねこねこ

絵の解説

春といえば桜ですが、もう一つの風物詩が潮干狩り。
桜が咲き始める3月末頃から6月の梅雨入り前頃まで、
まだ泳ぐには海水が冷たいけれど、浜の泥はぬるくて柔らかく、
背中にそそぐ陽光は暖かい。
汐の香りに包まれて、春霞の潮干狩り。

さて、戦利品をさっそく味わう三匹の猫。
右端の猫は、ハマグリの汁の美味しさに悶絶しているところ。
ありがたや、海の恵み。

原画

アサリとサンタクロースと古い釘

小学生の頃、家族で何回か行った潮干狩。
アサリがたくさんとれて、
日本の海は何て豊かなんだろうと思っていました。

その後、事前に漁協の人たちがアサリをまいていると知り、
こうやっていろいろ大人が仕組んでいるんだなと
社会の仕組みの一端を覗いたような、
大人になったような気持ちになりました。

私の実家ではクリスマスのイベントがなく、
サンタクロースも来ないどころか、
あれは大人がサンタの仮装をしていると子供ながらに分かっていました。

なので、潮干狩りの秘密を知ることは、
ある意味で”子供がサンタクロースの正体を知る日”
と近いのかもしれません。

なお、我が家にクリスマスがなかった理由は、
私の誕生日がほぼ正月だったので、
正月と誕生日に吸収合併されたためです。

潮干狩りに話を戻して、
持ち帰ったアサリは砂抜きをしますが、
アサリと塩水を入れた桶に祖母が釘を入れていました。
釘から出る鉄分によって海水と近い成分になり、アサリの砂抜きがはかどる、
とのことでした。
どうやらこれは科学的根拠がないらしいのですが、
古釘を静かに貝の横に沈める祖母の手つきが、
アサリが美味しくなるおまじないのようで、
この儀式含めての潮干狩りの思い出です。

コメント