Vol.16 縄文風トップス〜The 貫頭衣(かんとうい)

ドレスメーキング

用尺など

綿100%:110cm幅 x 70cm

パーツ
平ゴム 20cmほど
のびどめテープ適量

使用針 家庭用11号

作ったきっかけ

布屋に行くと、まっさきにチェックするのがハギレコーナー。

コートやパンツのポケット布や、見返し、バッグの裏布など、
ちょっと使いたい時に重宝します。

また、限られた布量で何を作るか考えるのも楽しい。
ハギレなら心置きなく遊ぶことができます。

今回、夏の涼しげな服にでもしようと思って買ってあった1mに満たない綿ローン。
やや透け感があり、ペーズリーの織が入っています。

ある日ふと、思いついたのがポンチョをベースにした平面的なトップス。
首の穴を開けて、脇を縫い付けただけの、縄文時代のような服。

カットも最小限で、無駄なく作れそうなので早速取り掛かりました。

この服のツボ

文明的たればこそモード

良く言えばアルカイック、
見たまま言えば紙袋。

服というより布、
着るというより被る。

なんとも原始的な服が出来上がりました。
縄文時代の貫頭衣のようです。

大ぶりなアクセサリーをつけると途端に呪術的なムードになり、
何もつけないと謎のカルト教団のようです。
よく映画やドラマに出てくるような、山奥で集団生活をしている謎の集団ぽい。

そう思うと途端にテンションがさがってしまい、一夏着てポケット布と布巾に転生しました。

織が入った薄手の柔らかい綿で、素敵な布だったのですが、
その素材を活かすためにもやはり料理が必要です。

ファッションを料理に置き換えるとわかりやすくて、
野菜であれ肉であれ、
お腹が満たされるだけなら別に調理しなくても良い。

でも”美味しさ”を求めるのは人間である証で、
この”さらなる美味しさを求める行為”こそ、
文化であり、文明だと思うのです。

ファッションも同様。
ただの布では、布のポテンシャルも引き出せず、本当にただの布で終わってしまう。

汝ファッショナブルたれ、文明的たれ、と
貫頭衣を着ながら思った夏でした。
あまり着なかったけれど、おかげでよくよく記憶に残った服です。

無駄こそファッション

布を裁断すると、半端な残布が多くて「もったいないなぁ」と思ってしまいます。
和服と違って曲線が多く、パーツも多い。
布の方向や柄合わせなどをすると、中途半端な残布がたくさん出ます。

なるべく無駄なく使いたい、と思うのは普通の感覚ですが、
それが行き過ぎると、必要なカットや縫製を省いて、
今回のような原始的な”限りなく布に近いがかろうじて服”が出来上がります。

イメージしたシルエットや形を出すための必要なカーブであり、
パーツなので、そこを”もったいない根性”で改変してしまうと、
ファッションからどんどん遠ざかっていってしまいます。

無駄あればこそのシルエットであり、ファッションです。
ケチってはいかんのです。

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