Vol.12 近藤れん子先生のこと#03

ドレスメーキング

立体裁断と製図について

東京立体裁断研究所は、
立体裁断クラスの受講を希望する方がほとんどですが、
その前に製図クラスを受けてからでないと受講できませんでした。

それはれん子先生としては絶対に譲れない条件で、
専門の教育を受けていようが、すでにプロとして活躍していようが一律でした。

「立体裁断が浸透していない日本において、
いきなり立体裁断を始めると迷子になる」
とよく仰っていました。

私も先生のところに通うまでは
立体裁断はぼんやりとしたイメージしか持っていませんでした。

今は、製図か立体裁断か、どちらか一方ではなく、
どちらも服作りには必要で、互いが補完し合うものだと認識しています。
そして、「迷子になる」という言葉も今ではよく理解できます。

立体裁断というスタイルにとらわれすぎて、
着心地の悪い服や、実際的でない服になってしまったり、
立体裁断で服を作るというパフォーマンスがゴールになってしまう事もあります。

立体裁断も製図も、あくまで手段に過ぎず、
より効率的に、より合理的に、
美しい服というゴールへ辿りつくことが重要だと思っています。
ファッションは自由で、デザインは無限ですが、
人が着用して動く以上、実用という側面を無視することはできません。

先生のもとで多くのことを学びましたが、
これもその一つです。
手段はあくまで手段に過ぎないし、
それが目的になるとゴールが遠ざかる。

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