描かれている人物
小浪、戸無瀬、奴
絵の解説
鎌倉から山科をめざして東海道を下る戸無瀬と小浪
二人のお供をする奴
あらすじ
「仮名手本忠臣蔵」八段目「道行旅路の嫁入」
主な登場人物と簡単な説明
・戸無瀬(となせ)
加古川本蔵の後妻。小浪の継母。
・小浪
加古川本蔵の娘。大星力弥とは許嫁の仲。
他、奴などがいます。
あらすじ
「道行旅路の嫁入」
晩秋の東海道。
加古川本蔵の娘小浪と、若い後妻の戸無瀬が連れ立って、京都山科の大星由良之助のもとへ急いでいた。
遠目に見える花嫁行列に、娘の胸はさざなみ立つ。
力弥との婚姻の約束が消えかかっている今、娘の想いを叶えんと、母は先を急ぐのだった。
私のツボ
お蔵入り
常磐津の舞踊劇。
「道行物」は「道行旅路の花聟(通称「落人」)」のように男女の恋人同士が多く、この演目のように母娘は珍しいです。
完全通し狂言と銘打ったものや、九段目とセットでない限り、省略されることが多く、舞踊として単体で上演されることは少ないです。
上演回数が少ない理由は、一番が時間的な兼ね合いだろうとは思いますが、「落人」に比べると地味なのは否めません。
母娘の他に、女馬士や酔っ払いの奴やお蔭参りなどが絡みますが、全体的に控えめな構成です。
ただ、背景がどんどん変化する舞台美術が面白いのと、上演回数が少ないのでかえって貴重な演目ではあります。
いつかそのうちポストカードにするタイミングがくるだろうと長らく蔵に入っているもの。
個人的には九段目がとりわけ好きなので、九段目を盛り上げる前菜としては欠かせないと思っています。
女二人、駕籠にも乗らず、徒歩で長い道のりをひたすら歩いてきたのか、とその執念とも言える一途な想いに、一抹の恐怖を覚えます。
踊りが美しいだけに、なおさら。
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