描かれている人物
枠右上:更科姫
背景:戸隠山の鬼女、余吾将軍平維茂
絵の解説
赤枠内は可憐に踊る更科姫。
紅葉流水の打掛。
正体を表した姫と平家に伝わる名剣小烏丸(こがらすまる)で対峙する維茂。
山、紅葉、松、菊と秋の彩り豊かな舞台。
あらすじ
「紅葉狩(もみじがり)」
主な登場人物と簡単な説明
・平維茂(たいらのこれもち)
勇敢な武将
・更科姫(さらしなひめ)
戸隠山に隠れ棲む鬼女
他、山神(さんじん)、腰元、従者の右源太・左源太などがいます。
あらすじ
河竹黙阿弥 作詞
信濃国戸隠山。
平維茂が従者たちと紅葉狩に来ると、更級姫たちが宴を開いていた。
誘われるまま宴に参加した維茂は、やがて酒に酔って寝てしまう。
維茂が熟睡したことを確認した更級姫は、腰元らとともに山へ姿を消す。
山神が来て維茂を起こそうとするが、一向に起きない。
山神は呆れて帰ってしまう。
夜風に目が覚めた維茂。
そこへ鬼女が現れ、維茂に襲い掛かるが、果敢に立ち向かう。
私のツボ
濃厚な派手
紅葉狩りの名の通り、舞台の紅が多い。
そして山なので、ところどころ緑が入っています。
赤と緑が多くて濃厚な舞台です。
更科姫は赤姫の扮装で、鬼女は金または朱色の衣装で、こちらも赤系ないし暖色系です。
唯一、維茂が淡い色調の衣装で、これが良いアクセントになっています。
この色彩のバランスを描きたかったのと、むせるような紅葉を描きたく、このような構図になりました。
山神を入れるか迷ったのですが、配置する場所が定まらず、入れませんでした。
歌舞伎の見得や型は、間(ま)が計算されており、その間(ま)あっての見得や型なので、それを感じられるような構図にしたいと常々思っています。
鬼女の指
歌舞伎では、鬼や怨霊など異形のものは三本指で演じます。
中指と薬指を折る、中指と薬指の間を開ける、と俳優さんによって異なります。
かぶきねこづくし(R)では、絵本を出版する際に手足とも四本指に統一しました。2017年以降は四本指になっています。
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