お蔵入り 「蚤取男(のみとりおとこ)」

お蔵入り

絵の解説

ノミに悩まされ蚊帳からノミを追って飛び出してきた粋な江戸っ子。
寝苦しさに涼んでいると、猫が出てじゃれついてくる。

蚤取男(原画スキャンデータ)

蚤取男(原画スキャンデータ)

実際の舞台では、猫は着ぐるみなのでもっと大柄で着ぐるみ然としています。
絵では、蚤取男との違いを出すために、猫は猫として描きました。
猫人間と猫という錯綜した世界になっております。

お蔵入りの理由

猿翁十種(えんおうじゅっしゅ)のうちの一つ、すなわち澤瀉屋の芸なので監修を通りませんでした。
珍しい演目で滅多に上演されませんし、難しいだろうと思いつつも描いてしまいました。
これは商品化していません。

動物の猫が出てくる歌舞伎の演目は、この「蚤取男」と「岡崎の猫」だけだと記憶しています。
招き猫の置物はよく茶屋の床几に置かれています。
置物かと思いきや、あれは煙草の火入で、背中に大きな穴が開いており、火種が中に入っています。
何の演目だったのか思い出せないのですが、舞台で火入として使われていて非常に驚きました。
商売繁盛の置物だと思っていました。
「岡崎の猫」は『どこじゃ?かぶきねこづくし2怪談』で「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」を描いた際に描きました。

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