お蔵入り 京鹿子娘道成寺その1

お蔵入り

絵の解説

道成寺の衣装は、雲霞(くもかすみ)と枝垂桜(しだれざくら)の刺繍で地色が次々と変わります。
帯は宝尽くし。家ゆかりの柄が入ることがあります。
帯は黒地が一般的ですが、白地を使用することもあります。

道行
黒地に枝垂桜、びらり帽子を平打ちで止めます。
平打ちは家ゆかりの紋があしらわれています。
道行の衣装を黒地にしたのは六代目尾上菊五郎で、古くは赤地だったそうです。

道行(原画)

烏帽子
赤綸子(あかりんず)に枝垂桜。金冠烏帽子を被り、中啓を手に舞う。

烏帽子(原画)

烏帽子(スキャンデータ)

お蔵入りの理由

このお蔵入りは、監修に通らずなどではなく、ただただ欲張って描きすぎ、余剰でお蔵入りのパターンです。

それほど「京鹿子娘道成寺」は衣装が何回も変わります。
どれも衣装が美しく絵心をそそられます。

が、しかし

衣装だけを抜き取ると、単なる図鑑になってしまって、絵として面白くありません。
図鑑用のカットになってしまいます。
絵ではありますが、やはり動きを持たせたい。
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにといわゆる5W1Hと、
何がどうしてこうなった(by大信田礼子)、そしてこれからどうなる、が絵にも大切なのだと思い知らされました。

とはいえ、やはり描きたい気持ちは抑えきれず、まだ他にも蔵で控えていますので、このあと間を空け3回に分けて紹介していきたいと思います。

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