描かれている人物
*描いている人物が多く、説明も長くなるので分割します。
朝顔仙平(あさがおせんぺい)
絵の解説
助六に名乗りをあげる朝顔仙平
「重ね重ねの曲手毬(きょうでまり)、ウヌはまあ、何という野郎だええ」
着付は美しい朝顔模様で、隈取りも朝顔の葉を模し、髷も朝顔の花が開いた形になっています。
着付を尻端折りして裾を高くからげ、上から斜段(はすだん)の帯で締める捻切(ねじきり)という奴スタイルです。
股から覗く化粧まわしのようなものは”伊達下がり”と呼ばれます。
下がり(ふんどしの前に垂らす布)に馬簾(ばれん)と呼ばれる飾り糸をつけたもの。
膝に蛤形の三里当(さんりあて)をつけます。黒か紫系統の足袋。
朝顔文様以外は、典型的な奴の衣装です。
正面からは見えませんが、後ろに黒地に朝顔の刺繍が施された腰下巾着を下げています。
あらすじ
役の説明
・朝顔仙平(あさがおせんぺい)
門兵衛の奴
あらすじ
吉原仲之町、三浦屋の格子先。
吉原一の人気花魁揚巻(あげまき)の元へは髭の意休が子分をつれて通ってきます。
助六の喧嘩沙汰を心配した母満江と白酒売りになった兄の十郎は、揚巻のところへ意見を頼みに来て、その真意を知ります。
助六があちこちで喧嘩を起こすのは、刀を詮議するためなのでした。
意休は助六の本心を見透かし、兄弟団結して親の敵を討てと意見をし、香炉台を切って見せます。
その刀こそ友切丸で、意休こそ伊賀の平内左右衛門という盗賊だったのです。
はやる助六を、揚巻は意休の帰り際を待つようなだめるのでした。
ーー幕ーー
この後、水入りの場がつく場合があります。
意休を討った助六は、揚巻の気転で、刀を持って吉原を抜け出します。
私のツボ
半道敵は別腹
元禄(1688〜1704年)頃、京橋北八丁堀の藤屋清左衛門が作った朝顔煎餅の宣伝を兼ねて生まれた人物です。
江戸時代の煎餅なので、おそらく小麦粉を材料にしたもので、朝顔の形をしていたそうです。
卵なしの瓦煎餅のような物でしょうか。
まだ歌舞伎を見始めたころ、写真で見た仙平に一目惚れしました。
朝顔づくしの美しい衣装と、道化のような化粧。
それでいて、親分のくわんぺらに着替えを持って来たり、うどんを頭からかけられて意味不明なことをいう親分に優しい応対をしたり、
時折覗く優しい人間性に、仙平も色々大変なんだろうなとしんみりします。
どうもピエロは滑稽な姿の影に物悲しさが見えてしまいます。
私は鷺坂伴内、早見藤太らの半道敵の系統に弱いです。
もちろん惚れ惚れするような二枚目や実事や捌き役は大好きという言葉では足らず、何度見てもその美しさや気迫に感動します。
コロコロしていて子憎たらしくて可愛らしい半道敵は別腹なのです。
でも食べすぎると胸焼けします。
本気バージョンの仙平
単体で描いたもの。
隈取りを描き込みすぎて、不気味になってしまいました。
戯隈(ざれぐま)と呼ばれるもので、半道敵に多く見られます。
カードのものは適度に簡略化してあります。
眉毛は朝顔のつぼみの形をしています。アート眉毛ですかね。
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