Vol.33 近藤れん子先生のこと#08〜 “Souplesse” スープレス

ドレスメーキング

スープレス

袖付きの服を作る時、前後身頃の腕の付け根あたりにひとつまみのゆとりを加えます。
このゆとりがスープレス。
袖を動かすための”遊び”のようなもの。
袖の無い服の場合はスープレスは加えません。
他の箇所のゆとりは”スープレス”と呼ばないので、袖のみに特化したゆとりのことです。

スープレスという言葉も概念も、れん子先生の研究所で初めて知りました。
スープレスはフランスの服作りにおける基本概念で、
れん子先生もフランスの裁縫学校に留学された時に知ったとのこと。

袖を動かしやすくするためのゆとりは、身頃の脇で調整するものだと思っていたので目から鱗でした。
袖を攻略するためにれん子先生の研究所に通い始めたので、
袖の秘密というか極意を知ったようで感動したのをよく覚えています。

とはいえ実践は難しく、適切なドレーピングの量はもちろん、
ドレーピング中にスープレスが消えてしまうこともよくあります。

そんな時に先生によく言われた言葉が「どっか行ったらまた捕まえたら良いのよ」。
布の柔らかさ、しなやかさをよくよく理解された先生らしい言葉だなと今も思い出されます。

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