描かれている人物
赤枠右:一寸徳兵衛
同左:団七九郎兵衛
絵の解説
徳兵衛から貫ざしの銭を首にかけられ逃亡する団七
屋根の上から団七の行方を見守る徳兵衛
2014年7月歌舞伎座、2013年10月松竹座、1997年7月歌舞伎座での公演を参考にして描いています。
衣装の色が実際と異なることがあります。
あらすじ
主な登場人物と簡単な説明
・団七九郎兵衛(だんしちくろべえ)
魚屋。わけあって舅の義平次を殺してしまう。
徳兵衛や釣船三婦のはからいでお梶と離縁し、一人逃亡する。
・一寸徳兵衛(いっすんとくべえ)
団七の義兄弟。
あらすじ
同 屋根裏の段
団七と離縁したお梶は市松とともに備中へ向かおうとした矢先、捕手たちが団七の家を取り囲む。
団七はお梶と市松を三婦に託し、屋根を伝って逃走する。
召捕り役を買って出た徳兵衛は、ひそかに逃亡資金の路銀を団七の首に投げかけ、わざと捕り逃すのであった。
この後(歌舞伎では未上演)
備中玉島。
徳兵衛の家に滞在中の磯之丞に家宝の刀を盗んだ疑惑をかけられるが、真犯人は大鳥佐賀右衛門だったと判明する。
潔白が証明された磯之丞は帰参を許される。
団七の身代わりとして息子・市松に手枷がかけられているのを知った団七は、徳兵衛の手で縄をかけられる。
磯之丞は恩ある団七を必ず救うと誓う。
私のツボ
ブラザーフッド万歳
団七内の段の後半部分、大詰の立ち回り。
この演目の主旋律は言わずもがな ”義理人情” で、さまざまな関係性のそれが副旋律として綾をなしています。
団七と徳兵衛も玉島家にゆかりがあると言う共通点のみで義兄弟の契りを結ぶに至るのですが、ジャンルを問わず自分の贔屓が共通していると途端に親近感が湧くのと同じ心理なのでしょう。
団七の役に立ちたいと思いながらもなかなか本領発揮できない徳兵衛が大活躍する場面。
義兄弟の二人でまとめました。
ところで「夏祭浪花鑑」の芸談などを読んでいると、よく三代目実川延若の名前が出てきます。
私は実際の舞台を観たことはないのですが、錦絵のような舞台写真にすっかり魅了され、すっかり俄贔屓になりました。
動く姿を見ることは叶いませんが、写真だけでも気迫があり、美しい。
古い演劇界の表紙を飾った三代目延若の団七の麗しさよ。
折しも「夏祭浪花鑑」の通し狂言だったので今回の参考にとその演劇界を読むと、<「道具屋」や「団七内」は蛇足なので十六年に一度くらいの上演で十分(意訳)>と身も蓋もない劇評にちょっと笑ってしまいました。
何故に十六年なのかはさておき、珍しい通しなら観てみたいのがファン心理というものです。はい。
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