描かれている人物
梅王丸
絵の解説
吉田神社の社頭にて桜丸と落ち合い、蓑笠をあげて顔を見せるところ
左:松王丸登場前の見得 右:時平が登場した後の見得
あらすじ
主な登場人物と簡単な説明
・梅王丸(うめおうまる)
菅丞相に仕える舎人(とねり)。三つ子の長兄。
あらすじ
「車引」
醍醐天皇の治世、河地の国佐太村で菅丞相の別荘番を務める四郎九郎に、三つ子の男児が誕生する。
天下泰平の吉相と祝われ、菅丞相が三つ子の名付け親となる。
長男の梅王丸は菅丞相、次男の松王丸は左大臣藤原時平、三男の桜丸は帝の弟・斎世親王の舎人となって仕える。
帝の寵愛を受ける菅丞相と斎世親王は藤原時平の奸計により失脚。
吉田神社の社頭にて互いの不運を嘆き合う梅王丸と桜丸は、今後の身の振り方を案じていた。
折しも時平が吉田社を参詣するとの知らせ、二人は恨みを晴らさんと牛車の前に立ちはだかる。
そこへ時平に仕える松王丸が現れ、二人を阻む。
三人が争っていると、牛車の中から時平が姿を現す。
時平の威圧感に足がすくむ梅王丸と桜丸。
松王丸の忠義に免じて二人を赦す時平。
三人は父親の七十の賀の祝いの日に再会することを約束する。
私のツボ
梅王丸三態
「車引」は見得が多く、それこそストップ・モーションのように絵になる姿がたくさんあります。
梅王丸、松王丸、桜丸の三つ子と、藤原時平。
それぞれの動きが絶妙に絡み、響き合い、
後ろに並ぶ仕丁たちの化粧声が祝詞のようにも聞こえ、
精巧なカラクリ時計や神楽を観ているような不思議な錯覚にいつも陥ります。
なかなか単体で描く機会がないので、襲名公演にちなんで梅王丸三態としました。
いずれも個人的に好きな見得を選びました。
右上は桜丸と落ち合って編笠を外すところ。
下手には同じく編笠を持った桜丸。
この場面はなかなか描く機会がなかったので大満足です。
お次は胸の前で腕をクロスする見得。
下手には同じポーズをした桜丸がいます。
このポーズが可愛らしく、大好きな見得。
胸の前で腕をクロスさせるポーズは軍荼利明王(くんだりみょうおう)の大瞋印(だいしんいん)に似ている気もしますが、確認できていないので”似ている”に留めておきます。
三点目は「車引」らしい、身体を大きく開いた動きの大きい見得。
「車引」での梅王丸は荒事担当で、血気盛んな若者といった様で描きごたえがあります。
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