描かれている人物
次郎冠者、曽根松兵衛、太郎冠者
絵の解説
能狂言が元になった舞踊劇は、肩衣(かたぎぬ)と袴の扮装で演じられます。
次郎冠者は黒字に波涛(はとう)の肩衣、太郎冠者は茶色地にしめ縄の肩衣。
袴は丸に花模様などが描かれた狂言模様。
衣装が可愛いです。
松は「素襖落」の原画から拝借
あらすじ
登場人物
曽根松兵衛(そねまつべえ):大名。太郎冠者と次郎冠者の酒ぐせの悪さにいつも困らされている。
太郎冠者(たろうかじゃ):松兵衛の家来。
次郎冠者(じろうかじゃ):松兵衛の家来。
あらすじ
お酒が大好きな太郎冠者と次郎冠者。
主人の大名曽根松兵衛は、自分の留守中にお酒を盗み飲みされないよう、次郎冠者には六尺の棒をかつがせ、太郎冠者は後ろに手を組ませ、二人の両手をしばったまま出かけます。
二人は酒蔵に忍び込み、しばられたまま交互にお酒を飲み始めます。
酔った二人が盛り上がって踊っているところへ、大名が帰ってきます。
大名は怒りますが、体ごと棒を振り回す次郎冠者に追いかけられ、三人入り乱れて幕。
私のツボ
冠者(かじゃ)
もともとは成人した男子のことを指しますが、狂言の生まれた室町時代になると”家に仕える若い者”という意味合いが強くなります。
“太郎冠者”は松羽目ものによく出てきます。
「素襖落」や「身替座禅」など、えてして酒好きで、お調子者で憎めません。
太郎&次郎コンビは「高杯(たかつき)」にも出てきます。
汐汲(しおくみ)
両手を棒に縛られた次郎冠者が、棒を汐汲の天秤棒に見立てて踊ります。
「汐汲」は、能の「松風」をもとにした歌舞伎舞踊です。
20分弱と短いですが、乙女の恋心を描くしっとりした舞踊です。
道成寺や藤娘と並び、日本人形や羽子板でもよく見かける題材です。
それを酔った二人が踊るのでとても滑稽です。
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