COPC78 博多どんたく

ご当地シリーズ

絵の解説

博多どんたくあれこれ

博多松ばやしの三福神(福神、恵比寿、大黒)と踊る人々(猫々)
三福神の行列を先導する華やかな傘鉾(かさぼこ)
傘鉾の下をくぐると無病息災のご利益があると言われています。

猫の漢詩「花下睡猫」

以前、博多アラカルトに博多どんたくを一部描きましたが、
今回は博多どんたくメインの構成です。

三福神の行列を先導する傘鉾には
四字熟語や漢詩の一部などに、麗しい絵が添えられています。

漢詩好きとしては、これは猫にまつわる漢詩を書かねばなるまいて。
というわけで、こちらの漢詩を拝借しました。

花下睡猫(くわかのすいべう) 釋梅癡(しゃくばいち 1793〜1859)

書き下し:
鶏犬を追ひ去りて天に昇らず
留まりて人間(じんかん)に住して嬾仙(らんせん)と作(な)る
恰(あたか)も五労(ごらう)に似 猶(な)ほ病酒のごとく
薬欄(やくらん)風暖かく 花に背きて眠る。

訳:
鶏や犬を追って天に昇ったりせず、
この世に留まって怠け仙人(嬾仙)となった。
まるで人の身を害する五つの疲れに似て、また酒に酔ったようでもある
芍薬の生垣に吹く風は暖かく、花に背を向けて眠っている

芍薬の生垣の下で猫が寝ているのを詠んだ漢詩。
作者の釋梅癡は江戸時代の浄土真宗の僧侶。阿波出身。

猫の漢詩は梅堯臣(ばいぎょうしん)や陸游(りくゆう)が有名ですが、
呑気で平和な情景と、
芍薬が博多どんたくの季節にちょうど良いので「花下睡猫」にしました。

この「花下睡猫」は日本画でよく見る画題で、
「牡丹花下眠猫児(ぼたんかかすいびょうじ)」という禅問答に由来します。
そこには踏み込まず、匂わせず、平和な情景にとどめた釋梅癡が好きです。
猫の昼寝ほど平和な情景はなく、そこに難しい小噺は御無用です。

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