絵の解説
メキシコの死者の日の仮装。
女性はカラベラ・カトリーナ、
男性はカラベラ。
カラベラ(calavera)はスペイン語で頭蓋骨という意味。
マリーゴールド
猫マリアッチ死者の日バージョン
ポップな骸骨
死者の日には、メキシコシティで大きなパレードが開催され、
パレードの参加者も観客も、パレードに関係なくても
多くの人がカラベラ・メイクをし、仮装を楽しみます。
このカラベラ・メイク、死者の依代(よりしろ)になるためのメイクかと思いきや、
死者がパレードに混ざっても目立たないようにという気遣いからのようです。
死者が骸骨姿という前提のもとに成り立つ気遣いですが、
生者が死者のスタイルに寄せるというのがなかなか興味深いです。
骸骨は死を象徴するので、日本では一般的には避けられがちなアイテムですが、
メキシコではカラフルな骸骨がそこかしこに溢れていて、
それもまたカルチャーショックです。
どの骸骨もポップでユーモラスで、
水木しげるの漫画に出てくる骸骨に似ています。
死者の日に食べる、パン・デ・ムエルトという甘いパンも、
頭蓋骨と骨を模した説、アステカ文明の名残で生贄の心臓に模した説があり、
いずれにせよ死に直結するものです。
メキシコは死へのスタンスがカラッと陽気で、
日本のように忌むべきものではないのが興味深いです。
この死生観の違い、やはり気候の違い、とりわけ湿度の違いが大きいと思うのです。
あらゆるモノが湿気ですぐへたってカビが生えてしまう悲しさよ。
小野小町の死体が腐乱していく様子を9段階に分けて描いた
「小野小町九相図(おののこまち くそうず)」という仏教画が鎌倉時代から江戸時代にかけて製作されました。
これも、湿度の高い日本の風土だから描けたのかなと思います。
もし乾燥したメキシコシティだったらミイラになっていた可能性もあるわけで、「九相図」も説得力に欠けます。
精神文化にはその土地の環境が大いに影響します。
日本文化の精神土壌にこの湿気が大いに関わりがあると考えていますが、
この話は長くなるのでまたいずれ。
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