SNPC74 かき氷

四季ねこねこ

絵の解説

暑い盛りのかき氷
イチゴにレモンに宇治金時

かき氷を食べている人たちに
つられて食べたくなってしまうの図

この後、このご婦人二人が吸い込まれるように
店内に入ってかき氷を注文したのは想像に難くありません。

夏の風物詩

暑い夏の定番デザートといえばかき氷。

かき氷も日々進化していて、昔ながらの粒子が粗いかき氷もあれば、
ふわふわの雪のようなかき氷もあり、
シロップやトッピングのバリエーションも豊富で、
夏ならではの楽しみともいえます。

かき氷のシロップのかけ方に東西の違いがあるようで、
それを知ったのは関西から遊びに来た友人と、東京でかき氷を食べた時のこと。
かれこれ10年以上前、門前仲町の甘味処にて。

運ばれてきたかき氷を見た友人が、開口一番「え、シロップすくなっ!」。
よく見ると、ガラス製の底の方にシロップ溜まりがあって、
こんもりとした氷の上にはシロップがほんの少しかかっています。

友人曰く、関西ではかき氷の上からシロップをかけるタイプが多いそうで、
名古屋出身の私もかき氷といえば、上からシロップをかけるタイプのものが主流でした。
言われてみればそうだったかも程度で、取り立てて意識したことはありません。
それより目の前のかき氷を早く食べたい。

いつもと勝手が違うので、スプーンを持って思案中の友人。
真剣な面持ちの友人につられて私もスプーンを持って待機中。

隣のテーブルのおじさんの元に同じくかき氷が運ばれてきたので、
二人して横目でちらりと観察すると、
こんもりしたかき氷をスプーンで軽くかためて、中央に穴を掘り、
底から小豆やシロップを掘り起こして食べていました。
その器用なこと。
かき氷は少しも落下することなく氷山はみるみる小さくなっていきます。
さながら職人技のよう。

ぼやっとしているとかき氷が溶けてしまうので、急ぎ私たちもスプーンで氷を固め、
中央に穴を掘って食べ進めました。

この東西の違いの起源はわかりませんが、
こんもりしたかき氷の上からシロップをかけると、氷が潰れてしまって見た目が無粋だからでしょうか。
隣の席のおじ様の職人技が正しい食べ方なのかは知りませんが、
自分の好みの配分で氷とシロップを食べ進められますし、
氷がこぼれないのでスマートでもあります。

昔、地元の名古屋で、トッピングが全部盛られたかき氷を食べたことがあって、
シロップはもちろん、練乳、アイス、白玉、小豆、フルーツやらが氷に刺さるように載せられていて、
見た目のインパクトはありますが食べるのが大変でした。
特に白玉を氷の上に乗せると冷えて食感が固くなるので、これは別皿にして欲しいところ。
全部盛りだと、ペース配分を間違えると最後は氷だけになってしまうので、
やはり関東流が合理的に思えます。
ついゴテゴテと盛ってしまうところが名古屋らしいともいえます。

そんな夏の風物詩のかき氷を描きました。
関東流は食べやすいけれど、絵にするには物足りない。
ひと目でかき氷をわかる、シロップが上からかけられた関西流かき氷にしました。

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