COPC75 岡﨑百貨店2周年〜ひろこのティー・パーティ

ご当地シリーズ

絵の解説

ここは架空のお店のテラス席
テラスから見える景色、
観覧車と帆船とロープウェイと、
背の高いビルに囲まれた都会の海

美味しい紅茶に美味しいお菓子
食器の触れる音
本の朗読
即興詩

紅茶の香り
港の匂い

かもめたちの鳴き声
遠くから汽笛の音

海はどこまでも広く
楽しいおしゃべりは尽きない

ひろこのティー・パーティ

岡﨑さんからイメージのフレーズをいくつかいただいて絵にまとめたことは前回書きましたが、
絵が二つ浮かんでしまって、どちらのイメージも捨てがたく二枚描きました。

前回(COPC74)は得意の構図のアラカルト形式。
通称欲張り構図。

もう一つがこちらのパーティをメインにした構図。個人的に固定カメラ構図と呼んでいます。

まず浮かんだのが、白い石造りのテラス、
テラスの向こうに桜木町の眺め。
そのテラスでティー・パーティ。
ガラスペンを模した柱。
海と、白いテーブル、ティースタンド。

もちろん空想上の景色です。
桜木町にこのようなロケーションのお店はありませんが、
どうにもこのテラスでのティー・パーティが描きたくて、
描きました。

一度、イメージが頭の中に浮かんでしまうと、
それを絵にしない限り頭の中からイメージが消えません。
描いて、自分の目で見たいというのもあります。

というわけで、2種類できたのでした。

岡﨑さんのご厚意に甘えて、2種類ともポストカードにさせていただきました。

記憶の断片

絵の左端、
ガラスペンで何やら書きつけている猫は、即興詩を書いています。

昔、エドワード・リアというイギリスの詩人のファン・クラブを主宰していたとき、
ファン・クラブの会員だった妙齢のご婦人に、
自宅の庭のバラが満開なので見にいらしてとお誘いを受けたことがありました。

William Wordsworthが好きなご婦人だったので、
バラを愛でながら数人で詩を読む小さな集いになり、
さらにはWordsworthのお気に入りの詩を朗読し合う集いになりました。
もちろん朗読は原文です。

最終的にはバラの持ち主が長風邪を患って企画は中止となり、
正直なところ内心ほっとしたのですが、
バラを愛でながら詩を朗読するという企画が非常に印象に残りました。

果たしてどんな時間になったのかしら。
好きな映画を一緒に見たり、好きな音楽を聴くのと同じことなのですが、
私には詩の朗読が身近ではなかったのでとても新鮮でした。

バラを見ながらワーズワスの詩を朗読しましょうよ、と
さらっと誘えるような、そんなセリフが似合う人間でありたいものです。

他にもファン・クラブの会合の際に、
さらさらっと手帳に即興詩を書かれて読み上げる方がいたりして、
この絵を描くにあたって、ふとそのことを思い出して片隅に入れました。

コメント