COPC71 縄文時代の吉祥寺の春

ご当地シリーズ

絵の解説

桜が咲いて、水ぬるむ春。
井の頭池に舟を漕ぎ出して漁に出ます。
船はスギやクスノキなどの大木をくりぬいた丸木舟。
獲れた魚は天日干しにして保存します。

池のほとりでは枝に蔓を結んで垂らして魚つり。
野花で花冠でも作ろうか。
向こう岸の柔らかな稜線、空高く飛ぶ鳥。
柔らかい春の陽射しが眠りに誘います。

そんな縄文時代の春の午後。

原画

縄文時代の妄想シリーズ

大森に続いて吉祥寺の春の様子。
一応、下調べはしますが、ほぼ妄想です。
縄文時代、武蔵野という環境。
その二つの条件を逸脱しすぎない範囲での
イメージ図ということで描いています。

昔、青森出身の知り合いが、
青森の春は一気に来ると話していました。

4月の末頃に桜が咲くのを皮切りに、
一斉に春がやってきて次から次へと花が咲き乱れて、
さながら長い冬の反動のよう。
途端に世界に色が溢れる、という言葉がとても印象に残っています。

縄文時代の春も、
きっと同じような感じではなかったかなと思って描いたもの。
防寒着もふんだんにあるわけでもなく、
必要に応じて狩に行ったりと外にでたりはするでしょうが、
基本的に冬は薄暗い竪穴式住居の中で暮らし、
食料も限りがあるので無駄に体力を消費しないよう、
静かに冬をやり過ごしていたのではと想像します。

そして待ちに待った春。
鳥や虫が鳴いて、草木が芽吹いて花が咲き、
にわかに世界が賑やかに。

桜を愛でるという感覚は縄文時代にはなかったかもしれませんが、
過ごしやすい気温になって心地良いという感覚、
春の光が暖かく、明るいという感覚は
今も昔も変わらないことでしょう。

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