絵の解説
満開の山桜に、菜の花がさいて、山道は色とりどり。
鮮やかな赤毛氈に提灯が見えて、
やれやれ、やっと茶屋にたどり着いたよ。
どれ、ちょっと一休みしていこうかね。
まだ先は長いから。
旅人たちが、束の間の顔見知りになる峠の茶屋。
桜の花いろいろ
時代劇に出てくる峠の茶屋
時代劇でお馴染みの峠の茶屋。
峠の茶屋といえば、誰しもなんとなくイメージを持つことができてしまう。
その由来が、時代劇のドラマだったり、
北斎や広重の浮世絵だったり、
はたまた観光地の茶店だったりと、人によって様々ではあれ、
ほぼ誰もがその人なりの”峠の茶屋”のイメージを持っていることでしょう。
もはや日本人の代表的な心象風景の一つと言っても
過言ではないような気もします。
私の茶屋のイメージは何で形作られたかというと、
おそらくドラマの「水戸黄門」と、
清水寺境内の茶店と、
歌舞伎の舞台に出てくる茶屋だろうと思います。
赤毛氈が床几に掛けてあり、
御休処と染め抜かれた旗が軒先に掛けてあります。
「水戸黄門」は祖母が好きだったので、
一緒に見ていたというか眺めていました。
黄門様は時代的に東野英治郎と西村晃です。
時は流れて大学生の頃、
古い日本映画専門の映画館によく通っていました。
そこで見覚えのある顔がチラホラ。
あぁこの人「水戸黄門」の人だ(角さん)、
あれこの爺さんは黄門様か、
と再会を果たしたのでした。
当時は俳優の名前は知りませんでしたが、
ビジュアルがしっかり記憶に刻まれていたようです。
恐るべし水戸黄門。
話を戻します。
左端で黄色の前掛けを下げているのが店の女将で、
その左に水桶を持っているのは息子で、沢で水を汲んできたところ。
亭主は裏で薪を割っているので姿は見えません。
一家で茶屋を切り盛りしています。
簡素な茶屋なので住み込みではなく、
自宅は峠からやや下がった中腹にあります。
夜明け前に自宅を出て、午後3時頃には店を閉めて自宅に戻ります。
桜が咲いて旅に商用に、移動には最適の季節。
これから梅雨までの間は茶屋も大賑わいです。
と、そんな想像を膨らませながら描きました。
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