KNPC221 二條城の清正

かぶきねこづくし

描かれている人物

上:(左から)加藤清正、豊臣秀頼
下:(左から)豊臣秀頼、加藤清正

絵の解説

御座船に乗り、大阪城を見つめる清正と秀頼(どちらも修正前)

原画

原画

あらすじ

作 吉田絃二郎

主な登場人物と簡単な説明

・加藤清正(かとうきよまさ)
豊臣譜代の忠臣。病気療養中。

・豊臣秀頼(とよとみひでより)
秀吉・淀君の三男。19歳。

あらすじ

第一幕 清正の館
慶長16年。
豊臣家取りつぶしをもくろむ徳川家康は秀頼を二條城に招く。
家康の罠だと豊臣家側は誰もが上洛を反対するが、秀頼は上洛を決意。
秀吉への恩を忘れぬ清正は病身ながら秀頼に付いて二條城へ出向く。

第二幕 二條城大広間
本多佐渡守らを従えた家康が待ち構える中、清正は秀頼と共に二條城に到着。
清正は警戒を緩めず、堂々たる弁舌で対抗して秀頼を守り抜いて家康との対面を果たす。

同 淀川御座船の上
帰途の淀川の船上。清正の忠誠心に感謝する秀頼。
やがて大坂城が見え、清正は秀頼の成長した姿を見て涙を流す。

私のツボ

千成瓢箪

名古屋出身の私は、豊臣秀吉といえば千成瓢箪。
千成瓢箪の焼印が入ったどら焼きのような”せんなり”という名前のお菓子。
どら焼きより小ぶりで、子供の頃から大好きなお菓子。
初めて白餡の菓子を食べたのもこの”せんなり”ですが、今は白餡と紅あんはないようです。
来客用の茶菓子で家にあったり、お土産でいただいたり、友達の家に行ったら出てきたり、
何かと身近な菓子でした。

というわけで背景に瓢箪を配置しました。
亡き秀吉公の威信。
秀吉に捧げた清正と、秀吉の血を受け継ぐ秀頼。
二人を繋ぐ秀吉の瓢箪、といった構図です。

遠目に見える大阪城も秀吉の遺産ですが、
それだけだと秀吉の存在感が薄いので瓢箪も追加。

しっとりと静かな御座船の場は、第一幕の緊迫した「清正の館」、
絢爛豪華な「二條城」があってこそ冴える場面だと思っていたのですが、
御座船の場面だけの上演だとかえって秀頼と清正の心の通い合いが際立ち、
さらには滅亡寸前の豊臣家の悲劇が際立つように感じられました。

修正箇所

監修より鬘無しの指示を受けて修正
清正の巻き毛が特徴的なので描いたのですが、秀頼の髷がやや違和感があったようです。
といって清正だけ鬘があるのもバランスが悪いので、今回は鬘なしとなりました。

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