描かれている人物
枠左:(左から)お富、下女おぬい
枠中央上:赤間源左衛門
枠中央下:梅松杭(みるくい)の松五郎
枠右:(左から)与三郎、鳶頭金五郎
下:(左から)お富、与三郎
絵の解説
恋に落ちた瞬間(修正前)
一線を越えてしまう瞬間(修正前)。
密会現場の別荘にて。
密会現場に踏み込んだ源左衛門(修正前)
密告した松五郎(修正前)
修正箇所はツボの項にまとめてあります。
あらすじ
主な登場人物と簡単な説明
・お富(おとみ)
元深川芸者。
木更津で赤間源左衛門の妾となっている。
・伊豆屋与三郎(いずやよさぶろう)
江戸の小間物問屋伊豆屋の養子。
実子の弟に家督を継がせるためわざと放蕩に耽り勘当されるのを待っている。
木更津の親戚宅に預けられ謹慎中。
・赤間源左衛門(あかまげんざえもん)
木更津の博徒を束ねる親分。
深川芸者だったお富に惚れ込み、請けだして妾にしている。
・海松杭の松五郎(みるくいのまつごろう)
源左衛門の部下。お富に横恋慕している。
「源氏店」に出てくる番頭藤八とは兄弟。
・鳶頭の金五郎(とびがしらのきんごろう)
与三郎の昔馴染み。
江戸から与三郎宛の手紙を届けに来た。
あらすじ
作/瀬川如皐(せがわ じょこう)
木更津海岸見染〜赤間別荘
江戸の伊豆屋の若旦那与三郎と、土地の親分赤間源左衛門の妾お富。
二人は木更津の浜で偶然すれ違い、お互い一目惚れする。
噺家のとりもちで恋文のやり取りから遂に人目を忍んで密会をする仲となる。
親分が江戸へ出かけた留守の間に、お富は与三郎を引き入れて逢瀬を楽しんでいると、
海松杭の松の注進により、源左衛門が踏み込んで現場をおさえる。
与三郎はさんざん斬り苛まれ、簀巻きにされて海に投げ捨てられる。
松に追われて逃げたお富は海に飛び込み、たまたま通りかかった和泉屋多左衛門の船に助けられる。
私のツボ
久々の赤間別荘
滅多にかからない「赤間別荘」。
「赤間別荘」があると、二人の出会いの経緯や与三郎の傷のいわれも分かり、
続く「源氏店」がより味わい深くなります。
「赤間別荘」といえば濡れ場に責め場に盛りだくさんですが、
そこを絵にしては野暮というもので、そこに至るまでを描きました。
二人が出会った瞬間と二人が一線を越えてしまった瞬間。
その二人を引き裂いた人物たち(赤間の親分と海松杭の松)。
という構成です。
お針女お岸は好きな役どころ。
お富が与三郎に秋風を送るのを気づかないふりをする”わきまえた”様が面白くて、
与三郎の隣に鳶頭の金五郎を描いてバランスを取りました。
木更津の海岸で出会って恋に落ちた二人ですが、
初めのうちはお富さんが与三郎を弄んでいるように見えます。
お富さんからは決して一線を越えないというか、そこは元深川芸者なので保身術には長けていると言えましょう。
そんな与三郎が赤間別荘でお富さんの手をぐいっと掴んでから、二人はあれよあれよと一線を越えてしまう。
一線を越えるように仕向けたお富の玄人っぷりと、与三郎のウブさが際立つ場。
おそらく最初のうちはお富さんは暇つぶしくらいの軽い気持ちだったのではないでしょうか。
それがつい恋に溺れて、とメロドラマの典型です。
修正箇所色々
(1)海松杭の松の衣装
(2)源左衛門の衣装
(3)与三郎の衣装の縞を濃い青に修正
(4)与三郎の襟元を詰める。
カタギの人間は襟元をきっちり締めるのが歌舞伎のお約束。
ここで与三郎の育ちの良さが伺えます。
(5)御膳のあつらえを修正
(6)お富の帯を濃い青に修正
コメント