絵の解説
千本鳥居をくぐって
稲荷山をぐるりと回って
狐の嫁入り行列
本殿
千本鳥居
みんな大好き伏見稲荷。
私も大好きです。
千本稲荷が幻想的な伏見稲荷大社。
大社がある稲荷山全体が神域です。
伏見稲荷も京都に住んでいた頃よく遊びに行っていました。
山全体をゆっくり一周すると、半日くらいかかった記憶があります。
本殿や千本鳥居周辺はいつも人で賑わっていますが、
稲荷山の山頂に近づくにつれ人も少なくなり、静かで、
そこかしこにある石の鳥居や塚は苔むしていて、
大小の赤い鳥居もやや薄汚れていて、
時間が止まったような、この独特の空気が大好きでした。
稲荷大社は二十四時間参拝可能なので、日が暮れると照明が灯されます。
おぼろげな灯りの中に浮かぶ赤い鳥居が妖しくて、
幻想的で、
どこかで狐たちが宴を開いているような、
異世界に繋がっているかのような空気が漂います。
寺山修司の映画のような、
横溝正史や江戸川乱歩の世界のような、
懐かしいような恐ろしいような、
土着的・因習的な何かに包まれた世界。
大昔に建てられた歴史的建造物は現代においてはどれも非現実な空間で、
そのような意味では京都は非現実空間の宝庫なのですが、
伏見稲荷はそこに御利益を願う人々の欲が加わるので、
名古刹とはやや趣が異なります。
伏見稲荷の赤い鳥居はほぼ全て奉納です。
お稲荷さんといえば、商売繁盛・現世利益。
あの鳥居一本一本に、願いが込められており、
伏見稲荷大社によれば、現在約1万基の鳥居があるとのことなので、
少なくとも約1万の欲が稲荷山を包んでいるのです。
大きな鳥居を奉納するとなると、お賽銭とは気合が違います。
枯山水どころか、伏見稲荷は常に人の欲望で潤っているのです。
だからこそ、千本鳥居は枯れることなく妖しく艶めき、
訪れる人を圧倒します。
異世界に繋がっているかのような不思議な空間ということで、
前々から描きたかった狐の嫁入りを描きました。
全国の稲荷神社のお祭り行事の一環で、よく狐の嫁入りが行われます。
初午の行事や、秋の収穫祭、大晦日など、各地によって異なるようです。
私の地元の神社では、初午祭りで狐の嫁入り行列が行われていました。
男性が女装して花嫁姿になって、籠に乗って町内を練り歩きます。
いつか描きたいなと思っていた題材だったので、
満を持しての登場です。
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