絵の解説
岡山と香川を結ぶ瀬戸大橋を遠くに望む。
岡山といえばフルーツ。
巨峰あるいはピオーネの収穫を手伝う雪舟。
シャインマスカットの収穫を手伝うのは吉備真備。
桃太郎一行と鬼は仲良く桃の収穫。
甘い匂いに思わず猿がつまみ食い。
冷たいバクダンキャンディーに、
美味しいフルーツと、
岡山名物きび団子を召し上がれ。
岡山といえば
倉敷、ジーンズ、大原美術館、シャインマスカット。
と、名物名所に事欠かない岡山ですが、なんといっても吉備真備。
きびのまきび。
初めて知ったのは小学生の頃、
「まんがで読む日本の偉人」といったような本で、
のびのび太のような、たかたかしのような、
その名前の語呂の良さにすっかり虜になってしまいました。
奈良時代の遣唐使で、右大臣として活躍した真備。
藤原仲麻呂や道鏡と同時代人にアクが強い人間が多いわりに、
真備の史料が極めて少なく、
全容がわからないのがまた興味をそそるのです。
ついに吉備真備を描く日が来たかと感慨深いのですが、
吉備真備だけでは少々知名度が弱いので、
歴史的著名人ということで、よく知られた桃太郎と、
水墨画で有名な雪舟も召喚しました。
大正ロマンを代表する画家の竹久夢二も岡山の出身ですが、
なるべく吉備真備に時代を寄せたかったのでまたの機会にしました。
吉備真備の出身地は現在の倉敷市、雪舟は総社市、
桃太郎伝説発祥の地は諸説ありますが、
吉備津彦神社をルーツとするならば桃太郎の出身地は岡山市といえましょう。
海の幸、山の幸が豊富な岡山。
伝承や伝説も色とりどりです。
歌舞伎ネタ
雪舟といえば、こぼした涙で描いたねずみの故事がよく知られています。
歌舞伎の『祇園祭礼信仰記』は雪舟の娘の雪姫が主役で、
積もった桜の花びらの上に爪先でねずみを描いて難を逃れます。
KNPC204 祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)〜金閣寺(きんかくじ)
KNPC08、KNPC113 「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)~金閣寺」
桃太郎も歌舞伎で登場します。
KNPC139 門出二人桃太郎(かどんでふたりももたろう)
吉備真備は『吉備大臣入唐絵巻』をベースにした『吉備大臣』という古浄瑠璃があり、
嘉永五年に中村座で『金烏玉兎倭国入船(きんうぎょくとわこくのいりふね)』が上演されています。
が、どうやら筋が分かりにくいと不入だったようです。
舞台が唐なので、衣装や舞台美術も予算オーバーという切実な問題もあったようです。
その後、明治八年に黙阿弥作『吉備大臣支那譚(きびだいじんしなものがたり)』が上演され、
何度か修正を経て再演されていますが、明治二十年を最後に上演は途絶えています。
「金烏玉兎集」といえば安倍晴明が編纂したとされる書物のタイトルですが、
吉備真備を陰陽師路線に寄せていったため、
安倍晴明とキャラが被ってしまい歌舞伎の題材として定着しなかったのかなと思います。
歌舞伎でお馴染みの菅原道真も真備と同じ学者出身の右大臣なので、
道真と差別化したかったのかもしれません。
何度か戯曲化されつつも、作品として残らなかった吉備真備。
やや残念ではありつつも、謎に包まれた真備らしくもあり、ファンとしては難しいところです。
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