描かれている人物
BKPC02:塩谷浪士たち
BKPC03:勘平、猪、斧定九郎、おかると勘平
BKPC04:塩谷判官、顔世御前、高師直、大星由良之助
絵の解説
BKPC02は絵本の表紙です。
陣太鼓を打つ由良之助。
絵本のカットで描いたもの。
顔世御前
塩谷判官と高師直
紙の都合による配置ですが、これはこれでトランプの絵札のようです。
獲物に縄をかけて手繰り寄せる勘平
逃げる猪
雨に濡れた袂を絞る定九郎
別れを惜しむおかると勘平(六段目)
あらすじ
「仮名手本忠臣蔵」五段目、六段目
主な登場人物と簡単な説明
・早野勘平(はやのかんぺい)
塩谷判官の元家臣。おかるは恋人。
恋人おかるの郷里・山崎の実家に身を寄せている。
猟師になったが、帰参の時節を待っている。
・斧定九郎(おのさだくろう)
山賊。斧九太夫の息子。
・おかる
顔世御前の元腰元。恋人の勘平と二人、山崎の実家で暮らしている。
勘平には内緒で、五年百両で身売りし祇園で働くことになっている。
・与市兵衛(よいちべえ)
おかるの父。
祇園で身売りの話をまとめてから帰る途中、定九郎に殺される。
・おかや
おかるの母。
・一文字屋お才(いちもんじやおさい)
祇園、一力茶屋の女主人。
伴人(女衒)の源六と共におかるを迎えにきた。
他、源六、千崎弥五郎、不破数右衛門、猟師仲間がいます。
あらすじ
<五段目・山崎街道>
おかるの故郷・山崎の実家に身を寄せた勘平は、猟師となっていた。
ある夏の夜、猟に出ると夕立で鉄砲の火縄を湿らせてしまう。
通りかかった旅人に火を借りようと声をかける。
その旅人は、かつての同僚・千崎弥五郎であった。
勘平は今の身の上を恥ながら、仇討ちの計画があるなら加わりたいと訴える。
そのひたむきさに心打たれた弥五郎は、亡君の石塔を建立する御用金を調達していると語る。
暗に、討ち入りの計画を知らせたのである。
なんとか資金を調達すると約束した勘平は、明後日再会する約束をする。
<五段目・二つ玉>
その資金を作るため、おかるは勘平に内緒で祇園の遊郭に自ら身売りする。
その身売り金の半金50両を受け取ったおかるの父・与市兵衛は、その帰り道、山賊・斧定九郎に襲われ、金を奪われた上に殺されてしまう。
刀についた血を拭い、ほくそ笑む定九郎。
そこへ手負の猪が駆けて来て、定九郎が避けると、二発の銃弾が背中を貫く。
撃ったのは勘平。
猪と誤って人を撃ったと気がついた勘平は、介抱せんと懐に手を入れると大金が入った財布触れる。
その財布を掴んだ勘平は、夜の闇の中、走り去るのだった。
<六段目>
勘平が帰宅すると、祇園町から来た男女がおかるを駕籠に乗せて連れて行こうとしていた。
勘平は、おかるが身を売って金の工面をしたことを初めて知る。
そして一文字屋お才が、これと同じ財布に前金50両を入れて与市兵衛に渡したと言って縞柄の財布を出す。
その財布を見て愕然とする勘平。
昨晩、猪と間違えて撃ってしまった男の懐に入っていた財布と同じもの。
与市兵衛を殺してしまったと思い込んだ勘平は、その場をとりつくろい、おかるを送り出す。
そこへ与市兵衛の猟師仲間が、与市兵衛の死体を運んでくる。
驚き嘆くおかやだが、驚かない勘平を不審に思って問い詰める。
ついに勘平の懐から血のついた縞の財布をつかみ出し、責め立てるのだった。
そこに千崎弥五郎と不破数右衛門(原郷右衛門の場合もある)が勘平の出資金を返しに来る。
不忠者は仇討ちに参加させられないと由良之助が判断したのである。
おかやがその金は舅を殺して奪った金だ、と二人に訴え、勘平は亡君の恥と厳しく叱責される。
勘平は脇差しを腹に突き立て、涙ながらに昨夜の出来事を語る。
弥五郎が死体をあらためると、死因は刀傷であった。
そして二人は道すがら、定九郎の死体があったことを思い出す。
はからずも、勘平は与市兵衛の仇を討ったことになり、汚名は晴れた。
私のツボ
歌舞伎&落語コラボ忠臣蔵
2022年11月の国立劇場で上演されたコラボ忠臣蔵に合わせて描いたもの。
歌舞伎の舞台は五段目、六段目のみなので、上演内容に即したものはBKPC03です。
忠臣蔵にちなむ落語として口演されるのは「殿中でござる」と「中村仲蔵」。
と言うわけで、BKPC04には殿中刃傷事件に関わる三人を描きました。
「中村仲蔵」といえば定九郎、そして彼の命運を握る猪。
大星由良之助は登場しませんが(厳密には六段目で名前で出てきます)、忠臣蔵といえば、と言うことで由良之助も描きました。
「仮名手本忠臣蔵」は絵本も出させていただいて、たくさん描いていますが、何度描いても飽きないのが忠臣蔵。さすが三大名作。
国立劇場からお話をいただいたので喜び勇んで描きました。
衣装の細部はPhotoshopのブラシツールで描いてみたりと、ちょっとデジタル化しています。
いつもは紙と絵具で仕上げてPhotoshopは入稿前の調整で使う程度なのですが、勝手知ったる忠臣蔵、誰がどの場面でどんな衣装を着ているのか大体頭に入っています。
試しに7割手描きで、3割デジタルと合わせ技を導入しました。
単体のカットや漫画などはPhotoshopで描くことがありますが、合わせ技は初めてです。
水彩の滲みや掠れやぼかしも紙の凹凸まで、ある程度再現できてしまうので、いやーすごい進化です。
かなり細かいところまで綺麗に描けてしまうのも一長一短で、どこまで描き込むかの見極めが難しいなと思いました。
「忠臣蔵」は隙あらば描きたい演目。
やはり義太夫狂言は良いです。
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