COPC01 渡月橋

ご当地シリーズ

絵の解説

真紅に染まる嵐山の木々。
桂川にかかる渡月橋を背景に、記念撮影をお願いします。
ちょっと表情が硬いかな? でも良い写真が撮れました。

原画

ご当地シリーズ

記念すべきご当地シリーズの第一号です。
ポストカードを置かせていただいている店舗からリクエストをいただく場合や、ふと描きたくなって描いたものなど、不定期ながら27種類になりました。

四季ねこねこのスピンオフという位置付けで、時代設定は画題に合わせて変えています。
いつも自分なりの物語を設定して絵を描いていますが、時代設定は厳密にしてしまうと自由に描けなくなってしまうので、そこは曖昧にしています。

渡月橋をバックに記念撮影というベタな情景を描きたかったのですが、カメラをどうするか少し悩みました。
絵としては蛇腹の乾板カメラなどの古いカメラの方が着物とも合うのかもしれませんが、レトロな絵にこだわっているわけではないので、デジタルカメラにしました。
これを描いたのがかれこれ10年以上前。
薄型のデジタルカメラが流行っていた頃です。

時は流れて幾星霜。
2022年、すでに街中にデジタルカメラは見る影も薄く、スマートフォンでの撮影が当たり前になりました。
プロ写真家や愛好家は除きます。

私はどうにもデジタルカメラが苦手で、どうも上手く使いこなせない。
もたもたしてタイミングを逃してしまったり、間違って画像を消去してしまったり。
巻いて押すだけの「写ルンです」の時代に撮った写真に、良いものが残されている気がします。
ササっと撮れてしまうので、今感じたままが写っているし、記念写真の場合などでは相手がまだ準備できていない表情など、タイミングがズレた時のものも自然で面白かった。
また、観光地などで写真撮ってもらえますか…とお願いして、撮る方と撮られる方に刹那的なコミュニケーションができたりと、なんだか微笑ましい感覚がありました。

デジカメへの移行はあまりうまくできませんでしたが、スマホはすんなり操作でき、便利な時代よのうと活用しています。
気軽なスナップ写真という点では、「写ルンです」を上回るかもしれません。
撮り直しも気軽にでき、残りのフィルム枚数を気にすることも、焼き増しを頼む必要もありません。
どちらにも良し悪しがあって、どちらがどうという話でもありません。
変わらないのは、楽しい瞬間を写真で留めておきたいという気持ちと、撮り溜めた写真はなかなか捨てられないという人間の性(さが)なのでしょう。
「写ルンです」のフィルムを送る際のゴジゴジ音と感覚を久しぶりに思い出しました。

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