絵の解説
福岡貢
お紺
奥庭
お蔵入りの理由
KN143の記事でも書きましたが、「伊勢音頭恋寝刀」は歌舞伎を観始めた頃に観て、強烈に印象に残りました。
この絵は、かぶきねこづくし(R)企画が始まる前に描いたものです。
猫で歌舞伎を描き始めたのは、人間で描くとそこに自分の贔屓の俳優が投影されてしまうから。
どうしても誰かに似てしまう。
と言って役者絵を描きたいわけではない。
役者によって役柄の味わいが変わることも歌舞伎の大きな魅力なので、役柄を誰か特定の俳優に固定することをしたくありませんでした。
描きたいのは歌舞伎の世界で、いわばその依代たる役柄を描きたかったのです。
どうにも中途半端な絵になってしまい、試行錯誤の末に猫にたどり着きました。
試行錯誤も何も、猫が好きだったから猫で描いたに過ぎませんが、猫の可愛さや怪しさが歌舞伎の世界ととてもフィットした次第です。
かぶきねこづくし(R)の企画が始まって、いくつかは以前から描いてあった絵を商品化しました。
さて、この「伊勢音頭恋寝刀」。
「そうだ!描いてある!」と勇んで出して、久々に見てみると…なんというか恥ずかしくなってお蔵入りにしてしまいました。
気持ちが先走って、冷静さを欠いた絵というか、なんというか…
そんなものを公表するなとも思いますが、せっかくこうしてブログを始めたので、供養を兼ねて掲載することにしました。
長らく蔵で眠っていた絵です。
「奥庭」は大きなサイズで描いたので、下半分の青を描くのにラウニーのフレンチウルトラマリンの2号チューブを丸々一本使ったのをよく覚えています。
これでまた心置きなくタンスの肥やしに戻ることができます。南無。
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