描かれている人物
(左から)爺さん、婆さん
絵の解説
夕涼みする仲良しの老夫婦。
![](https://aiyoshida.blog/wp/wp-content/uploads/2022/07/yugap-739x1024.jpg)
原画スキャンデータ
あらすじ
旧盆の暑い盛りの夕暮れ時。
風呂上がりの老夫婦が夕顔棚の下で酒を酌み交わしながら涼んでいる。
そこへ里の若い男女が盆踊りに誘いに来る。
後で行くからと断り、仲良く踊りながら去っていく若い二人を見て遠い日の自分たちの面影を偲ぶ老夫婦。
お囃子に誘われて盆踊りに行き、幕。
私のツボ
納涼図屏風
大好きな舞踊。
少し涼しい風が吹く夏の宵。
月の光に白く照らされる夕顔棚。
仲睦まじい老夫婦、入れ歯が取れても大笑い。
この舞踊のもととなった江戸時代の歌人・木下長嘯子の和歌、
「夕顔のさける軒端の下涼み男はててれ(襦袢)女はふたの物(腰巻)」
をヒントに生まれた曲とされています。
この舞踊だけでなく、この和歌をヒントにした浮世絵も何点かあります。
有名なところでは月岡芳年、英一蝶。
日本人の情緒にフィットした画題なのでしょうか。
私がまず浮かべるのは江戸時代の絵師・久隅守景筆(くすみもりかげひつ)による「夕顔棚納涼図屏風」。
まだ若い夫婦と、息子と思しき幼い子供が夕顔棚の下に敷いた筵の上で涼んでいる絵です。
淡い墨絵で、柔らかいタッチ、おぼろな月と大きくとった余白がなんとも言えない趣があり、大好きな絵です。
夕顔のころころした実が楽しい。
技巧を超越した平穏な味わいがあります。
もしかしたら、ここに描かれた夫婦は、この踊りの老夫婦の若い頃かもしれない。
そんなことを連想しながら描きました。
あくまでも老夫婦二人の時間にしたかったので、若い里の男女は省略しました。
「夕顔棚納涼図屏風」久隅守景(くすみもりかげ)筆
![](https://aiyoshida.blog/wp/wp-content/uploads/2022/08/L_204.jpg)
「夕顔棚納涼図屏風」久隅守景(くすみもりかげ) 筆 国立博物館蔵
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「夕顔棚納涼図屏風」東京国立博物館蔵
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