KNPC170 野晒悟助(のざらしごすけ)

かぶきねこづくし

描かれている人物

赤枠上段左端:(上から)六字南無右衛門、小田井、お賤
赤枠上段右:(左から)野晒悟助、浮世戸平
赤枠下段左:悟助
赤枠下段右:提婆仁三郎

絵の解説

「摂州住吉境内の場」
野晒悟助、浮世戸平(修正前)

野晒悟助、浮世戸平(修正前 原画)

「摂州住吉境内の場」
野晒悟助と浮世戸平の喧嘩を仲裁する南無右衛門

南無右衛門(原画)

「摂州住吉境内の場」
悟助に助けられ一目惚れするお賎

お賎(原画)

「摂州住吉境内の場」
悟助に助けられ一目惚れする小田井

小田井(原画)

「千日前悟助内の場」
意趣返しにやってきた仁三郎

仁三郎(原画)

「四天王寺山門の場」
悟助の立ち廻り

悟助(原画)

背景の桜吹雪は、住吉神社の満開の桜をイメージしました。

あらすじ

「粋菩提悟道野晒(すいぼだいさとりののざらし)」河竹黙阿弥作

主な登場人物と簡単な説明

・野晒悟助(のざらしごすけ)
一休禅師の弟子で、元坊主だったこともあり千日前で輿屋(葬儀屋)を営む男伊達

・提婆仁三郎(だいば)
剣術の達人。提婆組の親分。

・小田井(おだい)
大店扇屋の娘。悟助に惚れ、結婚を迫る。

・お賤(しず)
土器売の侘助の娘。悟助に惚れ、結婚を迫るが一足遅く、悟助のために身売りをして金を工面する。

・六字南無右衛門(ろくじ なむえもん)
老侠客。土地の親分。

・浮世戸平(うきよとへい)
売り出し中の侠客。無右衛門の仲立ちで悟助と兄弟の盃を交わす。

他、扇屋の内儀香晒、土器売りの詫助などがいます。

あらすじ

大阪の住吉鳥居前。
仁三郎の提婆組が、お賤と小田井の二人の娘に絡んでいる。
そこを通りがかった野晒悟助が提婆組を追いはらって二人を助ける。
その際に飛んだ下駄が元で侠客浮世戸平と争うが、土地の親分六字南無右衛門が仲裁し盃を交わす。

翌日、小田井は母とともに悟助のもとへ押しかけ女房。
断りきれず、小田井と祝言をあげる悟助。
お賎も押しかけ女房にくるが、一足遅く、泣く泣く諦める。
そこへ、仁三郎が現れ、百両出すか命を賭けた勝負をするかと無理難題をふっかけるが、悟助は母の命日ゆえ喧嘩を買うことができない。
そこへ侘助が、お賤が身売りして作った百両を持参。
折しも命日も過ぎ、悟助は四天王寺へ仁三郎を討ちに行き、大立ち廻りで幕。

※補足(後日譚)
扇屋の内儀香晒は、即日お賤を身請けして円満に納まる。

私のツボ

とにかく楽しい

物語は単純で、男っぷりのいい侠客が悪者をやっつけて、やたらと娘に惚れられるという話。
ややこしいお家騒動や、”実は〜”のどんでん返しもなく、気楽な芝居です。

住吉大社は大阪ですが、どう見ても粋でいなせな江戸っ子です。
上方言葉でもないですし、そこはまぁ細けぇこたぁ言いなさんな、という歌舞伎の大らかさが発揮されています。
抹香くさい名前が多いのは黙阿弥の洒落っ気でしょうか。

そして衣装が派手で、色とりどりで個性的です。
まずは南無右衛門の碁盤柄の着物。なぜか腰には瓢箪を下げています。
首に数珠をかけているのは、「夏祭浪花鑑」の釣船三婦同様、喧嘩をしないため。

対する野晒悟助は、ススキに髑髏。
これは小野小町に由来する柄で、通称「髑髏の小町」。
つまりこの髑髏は小野小町で、野晒の髑髏から、野晒悟助と名乗っています。
葬儀屋なので死を意識した衣装なのでしょうか。
腕に数珠をしているのは、一休の弟子で僧侶だから。
薄いグレー地ですが、黒地もあるようで、俳優さんによるようです。

一触即発の浮世戸平は、鮮やかな紫色。
悟助宅に乗り込む仁三郎は緑地に鷺と葦と水紋。

「四天王寺山門の場」では悟助の赤い襦袢が眩しいです。

小田井は大店の娘だけあって華やかな振袖姿。
お賎は田舎娘の誂えですが、可憐でかわいいです。

衣装が個性的で、動きも多く、描いていて楽しいカードでした。

差し替え箇所

「摂州住吉境内の場」
浮世戸平の衣装の柄を猫由来に変更。

修正用パーツ(原画)

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