KNPC146 「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)〜帯屋」

かぶきねこづくし

描かれている人物

上段左端:義母おとせ
上段中央:お絹
上段右端:隠居繁斎
二段目:長吉、弟儀兵衛
下段左:お半
下段右:長右衛門

絵の解説

長兵衛に忍んで会いに来たお半

お半(原画)

お半の書き置きを読んで、お半の決意を知った長兵衛

長兵衛(原画)

義母おとせ
箒で長兵衛を叩いて嫌がらせしている

義母おとせ(原画)

世話女房のお絹、長兵衛の養父・繁斎
お絹は長兵衛と二人きりになり、長兵衛の話を聞いているところ
繁斎は他の家族たちとともに長兵衛の申し開きを聞いているところ

女房お絹、繁斎(原画)

儀兵衛を言いくるめる長吉

長吉、儀兵衛(原画)

お半、長兵衛以外は一枚にまとめて描きました。

原画

背景は桂川をイメージした水面と、川べりの柳

あらすじ

「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」上下二巻のうち下巻

主な登場人物と簡単な説明

・帯屋長右衛門(おびやちょうえもん)
隠居・繁斎の養子で帯屋の主人。38歳。
捨て子だった長右衛門は、お半の父・堪兵衛に拾われ、帯屋へ養子に行くまで信濃屋で育てられた。

・お半(おはん)
帯屋の隣、絹問屋・信濃屋の娘。14歳。
長右衛門の子を宿している。

・お絹(おきぬ)
長右衛門の女房。

・義母おとせ
繁斎の後妻で、連れ子の儀兵衛を可愛がり、長右衛門には辛くあたる。
長兵衛を追い出してお店を手に入れたいと企んでいる。

・長吉(ちょうきち)
信濃屋の丁稚。上方の演出ではお半と同じ俳優さんが務める。

あらすじ

これまでの経緯
父を早くに亡くし、女手ひとつで店を切り盛りする絹問屋の信濃屋。
娘のお半は一日も早く婿を迎えねばならない立場だった。
嫁入り前の思い出にと、お半は乳母と丁稚の長吉と伊勢参りに赴く。
帰路、石部宿で偶然、商用で出かけた帰りの長右衛門と会い、同じ宿に泊まる。
その晩、長吉がお半の部屋に忍び入り、驚いたお半は長兵衛の部屋に逃げ込む。
怯えるお半と添い寝するうち、二人は道ならぬ契りを結ぶ。

その一件を、叶わぬ恋の腹いせにと長吉がおとせの連れ子・儀兵衛に告げ口する。

本編
京の呉服店・帯屋の主人の長右衛門が、隠居・繁斎の後妻おとせとその連れ子の儀兵衛に、先日受け取ったはずの百両の金を出せと責められていた。
さらに、お半が長右衛門宛てに書いた恋文を証拠に、二人の仲を責め立てる。
この騒ぎを収めようと、手紙は長吉が書いたものだと女房・お絹が庇う。
ひとまず繁斎がその場を収める。

長右衛門は百両はお絹の弟に頼まれたこと、お半との道ならぬ恋のことを女房・お絹に語る。
お絹は、いつまでも添い遂げたいと泣き伏し、すべて水に流そうと固めの盃を交わそうと酒を用意する。

長右衛門は、ふと十五年前のことを思い出す。
かつて芸妓と恋仲になり、桂川で心中したが、芸妓は死に、自分だけ助かったのだった。
お半は今年で十五歳、運命の符合におののく長右衛門。

その晩、お半が訪ね来て、長兵衛は別れを告げる。
お半が立ち去った後、お半が残した遺書を見つけた長右衛門は、お半を追って桂川へ向かう。

私のツボ

受け止めきれず、逃げの欲張り構図

京の商家のホーム・ドラマと中年男と少女の道ならぬ恋。
平たくいうと、そのような演目です。
が、正直なところ、どのように受け止めて良いのか分からず、何回か見ていますがいまだによくわかりません。
意地悪な継母と連れ子が巻き起こす家内のゴタゴタはありつつも、しっかり者の世話女房が陰日向に支えてくれる。
そんな平和な中年男の前に現れた隣家の少女・お半。
お半に、かつての青春の幻影を見出し、今度こそはやり遂げんとばかりに桂川へ急ぐ長兵衛。

と、見どころは頭で理解はできます。
身勝手すぎる長兵衛ですが、近松はその人間の弱さを描いたのかもしれません。
が、長兵衛に共感できる余地がありません。
それはさておき、

後妻おとせの意地悪婆っぷりが面白いです。
関西弁でネチネチといじめる姿は、上方ならではの味わいです。
おとせ見たさに観ているのかもしれません。

コメント