KNPC174 「大江山酒呑童子(おおえやましゅてんどうじ)」

かぶきねこづくし

上段左枠:(左から)濯ぎ女わらび、なでしこ、若狭
上段右枠:(左から)渡辺綱(わたなべのつな)、碓井貞光(うすいのさだみつ)、酒呑童子、卜部季武(うらべのすえたけ)、坂田金時(さかたのきんとき)
下段左枠:酒呑童子、源頼光
下段右枠:平井保昌

絵の解説

四天王と酒呑童子(修正前)

四天王と酒呑童子(原画・修正前)

大江山の鬼神、源頼光(修正前)

大江山の鬼神、源頼光(原画・修正前)

平井保昌(修正前)

平井保昌(原画・修正前)

漕ぎ女わらび、なでしこ、若狭

漕ぎ女わらび、なでしこ、若狭(原画)

背景は松羽目物なので、松を配置しました。

あらすじ

主な登場人物と簡単な説明

・酒呑童子(しゅてんどうじ)
丹波国大江山の山中に棲む鬼神。
里の女を誘拐し、恐れられている。

・源頼光(みなもとのよりみつ)
朝廷から鬼退治の命を受け、平井保昌、四天王らと大江山へ向かう。

他、四天王(渡辺綱、碓井貞光、卜部季武、坂田金時)、漕ぎ女などがいます。

あらすじ

大江山の鬼神酒呑童子を退治するよう命じられた源頼光、平井保昌、四天王らは、山伏に姿を変えて大江山へと向かう。
童子の姿で現れた酒呑童子に、神酒を進めると、童子はこれを呑んで舞い踊り、ついには酔い潰れる。
やがて童子は鬼神の本性をあらわすが、頼光主従に討たれるのだった。

私のツボ

かわいい鬼

舞踊作家の萩原雪夫氏が、十七世勘三郎のために能の「大江山」をベースにして書いたもので、初演は1963年6月。

前半はかわいい童子姿、後半は猛々しい鬼の姿。
前半の童子が可愛くて、愛嬌たっぷりです。
お酒大好きの鬼で、酔ってご機嫌になってお喋りになったり、舞を披露します。

童子が一旦引っ込むと、漕ぎ女が三人出てきます。
これがまた可愛い。

そして、後半は本性を表した鬼と頼光たちの戦い。

こうやって書くと、「土蜘」に構成が似ています。
前半は仮の姿、途中で従者らのユーモアのある場面になって、後半は鬼退治。
「土蜘」は前半から既に怪しい僧侶なので、土蜘の精になってもさほどギャップはありません。
その点、この踊りは前半と後半のギャップが大きい。
それを描きたくてこのような構図にしました。

童子は大好きな酒を飲んでご機嫌なのですが、隙あらば倒そうとジリジリする四天王たち。
このギャップもまた面白いです。

修正箇所

酒呑童子の袴、四天王の衣装。

修正パーツ

平井保昌の衣装。

修正パーツ

頼光の衣装、烏帽子をとる修正は画像処理で対応しました。
烏帽子を取る指示は少々意外でしたが、かつて烏帽子がない演出もあったので、そのためかなと思います。
あるいは猫耳が烏帽子から出ているのが問題になったのかもしれません。

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