描かれている人物
左:左甚五郎(ひだりじんごろう)
右:人形
絵の解説
甚五郎が太夫恋しさに彫った等身大の人形。
等身大で人形を作ってしまうところに甚五郎の思いの深さと重さが表れています。
上下に散らした模様は京人形の衣装の紋様。
なお、京人形の衣装は俳優さんによって異なります。
あらすじ
「銘作左小刀(めいさくひだりこがたな)~京人形(きょうにんぎょう)」
主な登場人物と簡単な説明
・左甚五郎(ひだりじんごろう)
京都の廓で見初めた小車太夫(こぐるまだゆう)のことが忘れられない彫工の名人
京人形の精
・甚五郎が小車太夫に似せて彫った人形。
・奴照平(やっこてるへい)
井筒姫の家臣。
・井筒姫(いづつひめ)
女房おとくが以前仕えていた殿様の妹で、栗山大膳に狙われているため、娘と偽っておとくに匿われている。
他、女房おとく、栗山大蔵などがいます。
あらすじ
彫工の名人、左甚五郎は廓で見初めた太夫に生き写しの人形を彫り上げます。
やがて人形が動き出し、喜んだ甚五郎は人形相手に踊ったり口説いて酒宴を開きます。
そんな折、栗山大膳の家来たちが姫を連れ戻そうと甚五郎の家へやって来ます。
姫に仕える奴照平が応戦、敵と勘違いして甚五郎の右腕を斬ってしまいます。
姫から真相を聞いた奴照平は詫びを言い、姫と共に逃げ延びる。
大膳の手下たちが大工に扮して押し寄せる。
甚五郎は左手一本で応戦、敵をやり込めるのだった。
私のツボ
眠り猫
左甚五郎といえば、日光東照宮の眠り猫の作者。
白黒ぶちのかわいい猫です。
上野東照宮唐門の昇り龍と降り龍も有名です。
そんな名工・甚五郎を題材にした舞踊劇。
前半は、美しい人形の精の踊りに、甚五郎とおとくのやりとりと、和やかな物語です。
後半は一転して派手な立ち回り。
赤姫のあつらえの井筒姫も登場して、華やかになります。
後半は演出が色々あるようで、
原作の物語に則り、
井筒姫の身代わりに人形の首を差し出す演出があり、それを姫の首と勘違いした奴照平が怒って斬りつける。
照平に斬られるタイミングと姫が逃げるタイミングも異なり、
さらには甚五郎の腕が斬り落とされる・傷を負うの違いもあります。
立ち回りや幕切も異なる演出もあり、後半は一定ではないようです。
後半は甚五郎の立ち回りがメインになりますが、「京人形」というタイトルが付けられるように、やはり主役は人形の精。
人形に魂が宿るほどの巧みな腕前、というのが物語の軸だと思いますので、甚五郎と京人形のみの構図にしました。
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