SNPC56 水無月〜花菖蒲(はなしょうぶ)

四季ねこねこ

絵の解説

そろそろ梅雨の気配が感じられる六月。
雨が身近になる季節です。

原画

「あら、降ってきた」

「なんでい、ひでぇ破れ傘じゃねぇか」
「うるせぇや、文句言うなら濡れていきゃがれ」
「オイラも入れとくれ」

相合傘をめぐって睨み合い。

「色男はツラいねぇ」
手拭いで雨をよけながら横目でニヤリ。

シェルブールならぬ堀切菖蒲園の雨傘。

菖蒲と花菖蒲

花菖蒲は花の造形がややこしく、複雑な構成をしているのに対して、葉っぱが直線的でいさぎよい生え方をしているのが面白いです。
花菖蒲は杜若(かきつばた)と似ているので、どうも五月・端午の節句のイメージが強いです。
別の種類とはいえ、菖蒲と名前が似ているせいもありますが、花菖蒲は六月上旬頃からシーズンを迎えます。

季節の花と、その季節における人々の様子という構図をとることが多いです。
花は静、人々の様子は動。
絵にリズムが生まれるので、好きな構図です。

六月ということで、傘をめぐる悲喜こもごもを描きました。
背景は、雨に滲む花菖蒲の遠景。
梅雨時、青空はお預けですが、さまざまな花の彩りが雨に潤う美しい時期です。

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