描かれている人物
揚巻の花魁道中
絵の解説
初期の頃、どうしても助六関連の絵が描きたくて、何枚か描いたうち監修から許可が出たもの。
右端の先頭から順番に、
太鼓持ち、妓夫、揚巻、傘持ち、禿、揚巻番頭新造、振袖新造、詰袖新造、遣手。
花道にずらりと並ぶ姿は壮観です。
この画像だけでは寂しいので特別ゲストを未公開画像の蔵からお迎えします。
茶屋廻り金太、茶屋廻り松次
金棒を鳴らしながら茶屋廻り。
この二人に加えて茶屋廻り竹次、茶屋廻り梅次と合計四人います。
三浦屋女房
名前と衣装は俳優さんによって異なります。
グレーや茶系統の渋い色目の衣装です。
事務方なので足袋を履いています。
文使い番頭新造白菊
助六の母・満江から預かった手紙を揚巻に持ってくるところ。
遣手お辰
くわんぺら門衛兵と言い合いをする遣手。
門衛兵相手に一歩もひかず、福山のかつぎが門衛兵にぶつかったので喧嘩はウヤムヤになる。
煙管は遣手の必須アイテムです。
あらすじ
役の説明
・三浦屋揚巻(みうらやあげまき)
助六の恋人で、吉原最高級の遊郭・三浦屋で一番人気の花魁。
痛快な啖呵で嫌な客をやり込める気風の良さも魅力の一つ。
・太鼓持ち、傘持ち、妓夫(ぎふ、ぎゅう)
客引きや護衛など、遊郭の若い男衆。
・禿(かむろ)
遊女見習い兼世話係。7、8歳から12、3歳までの少女。
・振袖新造(ふりそでしんぞ)
禿上がりの見習い遊女
・詰袖新造(つめそでしんぞ)
留袖新造(とめそでしんぞ)とも呼ぶ。
禿の時代を経ないで吉原に来た妓のこと。
・遣手(やりて)
遊女や禿の監督・教育係
・番頭新造(ばんとうしんぞう)
売れない遊女や年季を勤め上げた遊女が務めるマネージャー的な役割。
あらすじ
吉原仲之町、三浦屋の格子先。
吉原一の人気花魁揚巻(あげまき)の元へは髭の意休が子分をつれて通ってきます。
助六の喧嘩沙汰を心配した母満江と白酒売りになった兄の十郎は、揚巻のところへ意見を頼みに来て、その真意を知ります。
助六があちこちで喧嘩を起こすのは、刀を詮議するためなのでした。
意休は助六の本心を見透かし、兄弟団結して親の敵を討てと意見をし、香炉台を切って見せます。
その刀こそ友切丸で、意休こそ伊賀の平内左右衛門という盗賊だったのです。
はやる助六を、揚巻は意休の帰り際を待つようなだめるのでした。
ーー幕ーー
この後、水入りの場がつく場合があります。
意休を討った助六は、揚巻の気転で、刀を持って吉原を抜け出します。
私のツボ
元・吉原の女たち
花魁や遊女たちが大勢並び、目にも華やかな舞台です。
美男美女、奇人変人ばかりのうわついた空気をピリッとシメる、眼光鋭い女たち。
遣手、茶屋女房、番頭新造。
すでに薹(とう)が立った妙齢ですが、元遊女なのでどことなく色気があります。
出は短いですが、前述の通り、舞台の空気をキュッと引き締め、緩急をつけてくれます。
酸いも甘いも噛み分けた、年季の入った佇まい。
ぜんざいについてくる柴漬けのようなものでしょうか、欠かせない存在です。
この演目の魅力の一つが脇役の多さだと思います。
セリフのない役もいますが、ただ場を埋めるためにいるのではなく、必然性があってそこにいて、舞台を構成しています。
蔵から出した五名は、出てくる登場人物を全員描いて助六曼荼羅あるいは助六宇宙図絵にしようと思って描いたもの。
完全に個人的な趣味です。
ヘアスタイルも描き込んでいたのが災いして、途中で力尽きてしまい、曼荼羅は未完成です。
まだ蔵に控えていますので、この場を借りて追々紹介させて頂こうと思います。
コメント