描かれている人物
旅芸人駒吉
絵の解説
たっつけ袴の手古舞姿の駒吉。
左:片肌脱ぎになって、晒を手に踊ります。
右:獅子頭に鞨鼓を鳴らして軽快に踊ります。
襦袢の模様をうっかり花かつみで描いてしまったので、ポストカードでは、かぶきねこづくし専用の模様である肉球模様に修正してあります。
正月の隅田川
あらすじ
七変化舞踊「遅桜手爾葉七字(おそざくらてにはのななもじ)」第四曲
主な登場人物と簡単な説明
・駒吉(こまきち)
越後から江戸にやってきた旅芸人越後獅子。
あらすじ
江戸の正月。
越後からやってきた駒吉が門付芸を披露する。
獅子頭と鞨鼓を付け、旅暮らしの様子や女房を懐かしむ歌、お国自慢を踊る。
最後は白い布さらしの踊りで幕。
流派によって振り付けや演出が異なります。
駒吉一人だけでなく、複数で踊る演出もあります。
私のツボ
越後上布
もともと越後獅子が軽業芸だっただけあって、なかなかハードな踊りです。
花道から駒吉が走り出て、鞨鼓を打ちながら軽快に踊ります。
しみじみとした旋律で故郷自慢、ハイテンポの手踊り、浜唄、おけさ節、と調子の異なる踊りが続きます。
そしてクライマックスの布さらし。
新体操のリボンのようにヒラヒラ揺れますが、リボンより太いのでかなり重そうです。
おまけに両腕で、一本下駄なので、よく転ばないなと後でいつも思います。
この布さらしは、「近江のお兼」でも見られますが、川の水で布を晒す動きを表しているそうです。
でも、越後獅子なので越後上布でしょうし、越後上布は真冬に雪の上で寒ざらしにするので少々疑問に思っていました。
月日は流れ、絵本の下準備で越後獅子を調べていたとき、布晒しの踊りは日本海の波のうねりを表しているとの説明があって、いたく納得しました。
江戸から見る太平洋と、越後で見る日本海は、同じ海でも違います。
白い布を揺らす駒吉の脳裏には、日本海の荒波が見えているのでしょうか。
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