描かれている人物
上の扇の中
後列左から
成田五郎房本(なりたごろうふさもと)
女鯰若葉(おんななまずわかば)
樺冠者範頼(かばのかじゃのりより)
鯰坊主雲斎(なまずぼうずうんさい)
清水冠者義高(しみずかじゃよしたか)
同・前列左から
手塚太郎光盛(てづかたろうみつもり)
舞台番(ぶたいばん)
*舞台番の名前は俳優さんによって異なります。
舞台番富吉、舞台番辰次などなど。
下
巴御前(ともえごぜん)
絵の解説
できる限り多く描きたくて、巴御前以外は集合写真のような構図になりました。
中でも一番描きたかったのは、赤い太鼓腹の腹出しと、鯰入道。
腹出しは公家悪が引き連れる家来で悪役なのですが、
赤い太鼓腹が可愛くて憎めません。
舞台では五人おり、並ぶと迫力があります。
鯰坊主は半道敵と呼ばれる役どころ。
コミカルな敵役として色々な演目に登場します。
鯰坊主はもみあげを長い三つ編みにして垂らしており、
ヘアスタイルも個性が光ります。
着物はタコ柄です。
巴御前が着ている素襖は柿渋色に俳優の家紋か成田屋の三枡が白抜きで入ります。
かぶきねこづくし(R)で女暫を務める白猫の家紋は”紐に鈴”です。
あらすじ
歌舞伎十八番「暫」の変形版。主人公が女。
京都北野神社の回廊。
平家一門を討った範頼の位定めの儀式が行われようとしています。
そこへ敵方である木曽義仲の遺児である義高と、
その許嫁の紅梅姫はじめ家臣らが引き立てられてきます。
紅梅姫を我がものにしようとする範頼ですが姫に拒絶され、
怒り心頭に発し義高たちを殺そうとします。
あわやというところで「しばらく」の大声と共に巴御前が颯爽と登場。
巴御前は範頼の悪事を暴いて責め立てます。
範頼が強奪した宝剣「倶利伽羅丸(くりからまる)」も取り戻し、
義高たちを助け出すのでした。
あらすじや設定は「暫」とほぼ同じです。
私のツボ
「これは面白いから大丈夫」と友人に勧められて観た初めての歌舞伎演目です。
予習もせず、予備知識も無しで観劇しましたが、これが面白い。
歌舞伎は難しいものと思っていたので戸惑ったことを覚えています。
洒落っ気たっぷりで、最後の最後まで全く飽きません。
特に最後、巴御前と舞台番の花道での掛け合いが楽しいので、
定式幕がひかれても席を立たないように。
ここが一番の見どころと言っても過言ではないくらい。
巴御前は可愛いく、舞台番は小粋で色気があります。
約一時間くらいの勧善懲悪の楽しい芝居です。
私はこの演目をきっかけに、歌舞伎を観に行くようになりました。
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