描かれている人物
国侍利金太(くにざむらい りきんた)と国奴(くにやっこ)
通人里暁(つうじんりぎょう)
絵の解説
助六に股をくぐれと言われて喧嘩腰になる国侍利金太と、それを止める国奴。
上手側から通人里暁の出。この後股くぐりを要求される。
あらすじ
役の説明
・国侍利金太(くにざむらい りきんた)と国奴(くにやっこ)
吉原見物にやって来た田舎侍と部下の奴。
花道の引っ込みまでほぼセリフは無く、ぐっとこらえて股をくぐります。
「弱い侍であったなぁ」と助六に言われる始末。
良い気分でいたところ、助六とばったり会ったがために少々不憫ではあります。
国侍の衣装は、萌葱色の地(歌舞伎では田舎者の定番色)に駒の染め抜きです。
・通人里暁(つうじん りぎょう)
吉原遊びに興じる通人(=風流人)。
出はこの股くぐりだけですが、里暁はその時勢の当て込みやくすぐりを入れ、客席を沸かせます。
今回の里暁はどう笑わせてくれるんだろう?と、客席からの熱い期待が集まります。
花道を引っ込んだ後、助六に「 変な奴でござりまするな~ 」と言われる始末。
あらすじ
吉原仲之町、三浦屋の格子先。
吉原一の人気花魁揚巻(あげまき)の元へは髭の意休が子分をつれて通ってきます。
助六の喧嘩沙汰を心配した母満江と白酒売りになった兄の十郎は、揚巻のところへ意見を頼みに来て、その真意を知ります。
助六があちこちで喧嘩を起こすのは、刀を詮議するためなのでした。
意休は助六の本心を見透かし、兄弟団結して親の敵を討てと意見をし、香炉台を切って見せます。
その刀こそ友切丸で、意休こそ伊賀の平内左衛門という盗賊だったのです。
はやる助六を、揚巻は意休の帰り際を待つようなだめるのでした。
ーー幕ーー
この後、水入りの場がつく場合があります。
意休を討った助六は、揚巻の気転で、刀を持って吉原を抜け出します。
私のツボ
通人
流行に敏感で、芸事にも通じ、教養も経済力もある風流人。
というのが大まかな定義のようです。
国侍(または田舎侍)と通人は、大工や鳶頭や芸者同様、江戸名物のようで色々な舞踊に登場します。
通人は「乗合船恵方万歳(のりあいぶね えほうまんざい)」、田舎侍は「どんつく」など。
「弥生の花浅草祭」に至っては「通人・野暮大尽」と二人セットになっています。
善悪ならぬ、”野暮”と”通”の取り合わせなのかもしれませんが、どうみても通人が素敵に見えません。
善悪が紙一重のように、野暮と通も紙一重というか、”無粋”という括りの中での双極にすぎないのかもしれません。
そんな通人と国侍が好きなので描きました。
おまけの二人
助六ではありませんが、
「弥生の花浅草祭」の通人・野暮大尽。
商品化のタイミングがなかなか合わず、待機中の原画です。
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