SNPC62 鯉のぼり

四季ねこねこ

絵の解説

五月の風物詩を集めました。
紙を折った兜をかぶり、柏餅を頬張る子猫。
ちまきをたくさん手にしたおかみさん。
鰹売りが走り、花菖蒲が美しく咲いています。

原画

文字
鯉の鱗

原画

鯉のぼり

鯉のぼりのカードが欲しいとリクエストをいただいたので制作しました。

四季ねこねこを描くとき、だいたい江戸末期〜昭和初期が多いです。
珍しく、この絵の設定は昭和三十年代です。
鯉のぼりがカラフルで、吹き流しがついているためで、鯉のぼりを優先した時代設定にしました。
魚の棒手振りは時代が古いかも知れませんが、昭和三十年代に生まれたスタッフの記憶では、子供の頃に自宅へ売りに来ていたということで盛り込みました。

江戸時代の鯉のぼりは、外に飾るものは和紙に墨一色で描かれていました。
玩具用などは泥絵の具でカラフルなものもありました。
屋外に飾るものは、鯉のぼりよりも幟に武将の絵が描かれたものが図版では多く見られます。

鯉が風にたなびく様子が好まれ、やがて幟よりも主流になって行きます。
明治に入ると、赤い鯉が加わり、複数揚げられるようになります。
その後、和紙から木綿になり、戦後は化繊が主流になります。

一番上にはためいているものは、矢車と吹き流しです。
これは明治時代に入ってから加わりました。
吹き流しの色は、陰陽五行説から採られています。
矢車は魔除けのためと言われています。

風にたなびく鯉のぼりは優雅で風情があります。
最近、たくさんの鯉のぼりを飾るイベントをよく見かけます。
水平に綱を渡して、鯉のぼりをぶら下げるのですが、どうも大量の干物を干しているように見えてしまいます。
七夕の吹き流しとさして変わり映えしないので、垂直に立てて並べたら良いのにと思うのですが、どうであれ季節を感じたいという日本人の根性みたいなものが好きです。

コメント