お蔵入り 千鳥(「俊寛」)

お蔵入り

絵の解説

千鳥の衣装の緑色は、日本の伝統色で革色(かわいろ)と呼ばれます。
村娘よりもさらに田舎の娘を表す色です。
『妹背山婦女庭訓』のお三輪なども同じ色です。

革色の地に、”蛸絞り(たこしぼり)”。
襦袢も蛸絞りで、まさに蛸尽くしです。
このタコ紋様は、「三社祭」や「暫」の入道など、
海にちなんだ役柄の衣装に多く使われます。
千鳥は海女、「三社祭」は漁師、入道は生臭坊主という意味でしょうか。

千鳥の帯は、珊瑚模様です。

この千鳥は髪の毛を描いていませんが、
千鳥の髪型は、”馬の尻尾”と呼ばれ、
髷(まげ)がなく、垂らした髪を結んだもので、
田舎の娘や女房の髪型です。

お蔵入りの理由

かぶきねこづくし(R)という商品が生まれる前に描いたもの。
生命力に溢れた千鳥が大好きで、衣装も可愛らしくて描いたもの。

いざ商品化する段になって、昔描いた絵だからかどうも馴染まず、そのままお蔵入りになりました。

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