KNPC31吉原雀(よしわらすずめ)

かぶきねこづくし

描かれている人物

籠を持つ鳥売りの夫婦

絵の解説

鳥売りの夫婦(原画)

袖無しの羽織は裾に竹に雀の模様が入っています。
浅葱色の繻子の着付。

初期の頃の絵です。
この頃は余白が多く、カード1点につき厳選した1場面と自分なりにルールを設定していました。
理由は覚えていませんが、伝統芸能ですし、詫びとかサビとか引き算の美学とかにかぶれていたんだろうと思います。
物足りないのでそのルールはすぐ撤廃しました。
今もしまた「吉原雀」を描くとしたら、全く違う絵になります。

あらすじ

吉原に放生会(ほうじょうえ)の雀を売りにきた鳥売りの夫婦。
遊郭の様子ー遊女と客の駆け引きややりとり、恋心などを歌った清元に合わせて踊ります。
夫婦で息のあった踊りを見せると、籠を持って立ち去るのでした。

私のツボ

ヨシキリ

吉原に雀を売りに来る鳥売りと、吉原遊郭の冷やかし客を掛けたタイトルです。
夏の葦原に群生する”よしきり”という鳥は、その鳴き声の特徴から葦原雀(よしはらすずめ)などと呼ばれました。
それが転じて騒がしい冷やかしの客を吉原雀と称するようになりました。

歌川国芳の浮世絵に「里すゞめねぐらの仮宿」というのがあり、吉原遊郭の賑わいを雀で描いた作品です。
当時は歌舞伎役者や遊女を描くのは禁制だったので動物に置き換えるのはよくある手法です。
なぜ雀かというのは考えたことがなかったのですが、この舞踊の由来を調べてその理由が分かりました。

話がそれましたが、しっとりした舞踊です。
鳥づくし、草花づくしの唄なので、歌詞が聞き取れたらより味わいも増すことでしょう。
まだまだ耳というか頭が対応できていないので、ついつい踊りをうっとり観てしまいます。

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