KNPC199「人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)」通称「文七元結」(ぶんしちもっとい)

かぶきねこづくし

描かれている人物

枠右上:長兵衛、お久
枠左中央:文七、長兵衛
枠右下:(左から)家主甚八、長兵衛、お兼、和泉屋清兵衛、文七

絵の解説

長兵衛、お久(修正前)
吉原角海老内証の場、お久に借金を清算して真っ当な暮らしをするよう請われる長兵衛

修正前の長兵衛、お久(原画)

文七、長兵衛(修正前)
本所大川端の場、五十両を文七にあげる決意をした長兵衛

文七、長兵衛(修正前の原画)

(左から)家主甚八、長兵衛、お兼、和泉屋清兵衛、文七(修正前)
再び長兵衛内の場
お兼は下着姿なので隠れている

(左から)家主甚八、長兵衛、お兼、和泉屋清兵衛、文七(修正前の原画)

あらすじ

初代三遊亭円朝 作

主な登場人物と簡単な説明

・長兵衛(ちょうべえ)
腕の良い左官職人だが、生来の博打好き。

・お兼(おかね)
長兵衛の女房。

・お久(おひさ)
長兵衛とお兼の娘。

・文七(ぶんしち)
小間物商和泉屋の手代

・和泉屋清兵衛(いずみやせいべえ)
和泉屋の主人

そのほか、家主甚八、鳶頭伊兵衛などがいます。

あらすじ

本所割下水左官長兵衛内の場
年の瀬も迫るなか、長兵衛は博打に負けて朝帰り。
娘のお久が行方不明で取り乱すお兼は長兵衛にくってかかり夫婦喧嘩に。
お久が吉原の大店角海老にいると分かり、長兵衛が迎えに出向きます。

吉原角海老内証の場
両親の生活のために自ら身売りしたお久。
角海老の女主人お駒は、借金清算のためにと五十両を長兵衛に貸します。

本所大川端の場
角海老からの帰り道、長兵衛は隅田川のほとりで身投げしようとしている男・文七に出逢います。
聞けば、文七は、うっかり店の五十両を紛失、金の当てもないので死ぬしかないとのこと。
「人の命は金じゃ買えねえ」と長兵衛はお久が身売りして作った五十両を与えて立ち去ります。

再び長兵衛内の場
長兵衛の話を信じないお兼。
夫婦喧嘩の最中に訪ねてきたのは、昨日金を与えた文七とその主人和泉屋清兵衛。
紛失した五十両が見つかったので返しにきたのです。

そこへお久が帰ってきました。
和泉屋清兵衛が親思いのお久を見受けし、文七の嫁にしたいと申し入れます。
文七は暖簾分けして元結を売る店を開きたいと夢を語ります。
長兵衛夫婦は嬉し涙に暮れるのでした。

私のツボ

ざる蕎麦のようなスッキリした味わい

この演目は、人情味も江戸っ子風情も押し付けがましくないので好きです。
間伸びせず、サラサラっとテンポよく話が進みます。
ベタベタしません。
話を引っ掻き回すトラブルメーカーも、詐欺師も、根っからの悪人もいません。
雑味のない、スッキリした美味しいざる蕎麦のような演目です。
大盛にしたり、天ぷらセットにしたり、ミニ親子丼や稲荷寿司をつけなくても、単品で十分満足できる蕎麦です。

修正箇所

長兵衛を中年男に見えないと監修から指摘が入ったので、衣装の修正とともに描き直しました。
描き直したのがこちらです。

長兵衛、お久(修正後の原画)

長兵衛(修正後の原画)

和泉屋清兵衛、文七(修正後の原画)

文七(修正後の原画)

この絵を描いた頃、かれこれ二年ほど前ですが、この演目を含め連続して衣装や型以外での修正が入るようになりました。
他にも、描いてよい演目が限られるなど制約が色々増えたこと、他諸々と相まって、新作が描きにくくなりました。

歌舞伎という題材があって描いていることから全て私の創作ではないことは重々承知の上ですが、あれこれ考えてしまい筆が止まってしまいました。

しばらく歌舞伎からも離れていたのですが、ある日ふと…以下はご挨拶のページに書いた通りです。
そして、過去の作品をこのブログでまとめていくうちに、

また描きたい気持ちが再燃しました。

かぶきねこづくし(R)をご贔屓にしてくださる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。

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