Vol.34 近藤れん子先生のこと#09

ドレスメーキング

セット・インの袖山の高さ

服作りの中で一番苦手なのがセット・イン・スリーブ(以下セット・イン)でした。
袖山の高さ、袖底の長さ、イセの分量をどのように求めたら良いのか分かりませんでした。
文化式の製図では袖山の高さを算出する計算式があり、いつもそれに基づいて決めていましたが、その計算式の根拠が分からない。
計算も面倒だし、袖の仕上がりもそれで良いのかどうか分からない。

セット・インが苦手なので、その先の二枚袖やラグランにたどり着けないでいました。

れん子先生の教科書では、袖山の計算式のようなものはありません。
基本形の袖の製図(半袖、長袖)が掲載されており、袖山の高さは肩に対しての角度(=すわり)すなわち求めるシルエットによって適宜決めます。
すわりが強い(タイトなシルエット)場合は角度が大きく袖山も高くなり、イセは多めで袖は細くなる(袖底が短い)。
すわりが弱い(ルーズなシルエット)場合は角度が小さく袖山は低くなり、イセは少なめで袖が太くなる(袖底が長い)。
袖山の高さよりも、腕の振りに多くページが割かれていました。
なぜならセット・インの場合、袖山の高さはアームホールによって決まり、アームホールは身頃のゆとり量によって自ずと決まるから。
ラグランやキモノスリーブのように身頃と袖が合体しているわけではないから、セット・インはさほど難しくない、と先生談。

先生にすっかり感化されて、袖で苦労するならもっと変わったデザインの方が達成感があるわと変わり袖に逃げました。
そして現在、セット・インもマスターしたとは言い難いのですが、変わり袖が難しいので、相対的にセット・インへの苦手意識は薄まりました。

今思うと、そもそも全てを製図で片付けようとしていたのが間違いで、服作りは製図と立体を行ったり来たりしながら少しずつ完成に近づけていくものだと認識しています。
製図で一発で決めるというのは、無茶が過ぎると今なら分かるのですが、曖昧なものを曖昧なままにしておくことができなくて、明快な解が欲しかったのも理解できます。
そこを経て、”まぁいっか”の境地に到達できたのであります。