絵の解説
事始めの日、2月8日は針供養の日。
折れた針や、錆びた針を供養する行事。
針を柔らかい豆腐や蒟蒻に刺して、硬い布を縫ってきた労をねぎらいます。
※地域によっては事納めの12月8日に開催するところもあります。

原画
針供養とヘル・レイザー
針供養を知ったのは、れん子先生の立体裁断研究所に通っていた頃。
研究所に来ていた生徒の方に教えてもらいました。
洋裁の上達を願う行事と聞いて、下心満載で浅草の淡島神社に行ったのが初めてです。
普段はさほど混雑していない淡島神社も、針供養の日ともなると大勢の人で混み合っており、
7割は和装のご婦人方、3割は奇抜な服装のファッション系の学生の若い男女といった構成でした。
常香炉の手前あたりに据えられた小机に大きな豆腐が乗ったバットが置いてあり、
その豆腐に供養する針を刺します。
針供養ついでに溜め込んでいた古い針も処分しようと瓶に入れて持参したのですが、
「豆腐に刺す針は、ひとり一本でお願いします」と張り紙がされていました。
おそらく同じ魂胆とおぼしき人たちの、
「あらやだ一人一本ですって」というヒソヒソ声が列から漏れ聞こえます。
びっしり刺さった針の隙間を探して豆腐にふにゅっと一本針を刺す。
針が大量に刺さった白い木綿豆腐は映画『ヘル・レイザー』の魔道士のようで、
なかなか強烈なビジュアルをしております。
本堂では祈祷が行われており、こちらは別途申し込みが必要なようで、
無料参加の針供養は豆腐に針を刺して終了です。
すっかり頭の中が『ヘル・レイザー』で占められてしまい、
帰宅してからDVDを引っ張り出して鑑賞したことは言うまでもありません。
何回見てもイマイチ話が頭に入ってこないので、何度も楽しめてしまう映画。
やがて途中で「あ、思い出した。観たわコレ」と片手間で見たり、寝てしまったり、
魔道士の登場以外飛ばしてしまったりを毎度繰り返すので無理もありません。
針供養をして梅園で汁粉を食べ、
上野で買ったどら焼きを食べながら『ヘル・レイザー』を観る。
私の事始めの恒例イベントです。
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