描かれている人物
松王丸
絵の解説
銀鼠に雪持松（音羽屋型）
左：いろは送りの白装束 裃と袴は淡い浅葱色
右：「もどり」になってからの松王丸
あらすじ
主な登場人物と簡単な説明
・松王丸（まつおうまる）
三つ子の次兄。藤原時平に仕える身のため、菅丞相失脚後は兄弟たちと敵対する。
女房千代との間に小太郎という息子がいる。
時平方で菅秀才の顔を知っているのは松王丸だけなので、
首実検役として春藤玄蕃と共に寺子屋へ来る。
あらすじ
「寺子屋」
芹生の里、武部源蔵の家。
源蔵が管秀才を寺子屋に匿っていることが時平方に知れ、
首を討って差し出せとの厳命を受け、苦慮していた。
奇しくも今日寺入りした上品な顔立ちの小太郎と対面した源蔵は、
彼を菅秀才の身代わりにすることを決意する。
時平方の春藤玄蕃と首実検役の松王丸が乗り込んでくる。
万策尽きた源蔵は小太郎の首を差し出す。
その首を見た松王丸は「菅秀才の首に相違ない」と言い、
玄蕃は首を持ち帰り、松王丸も立ち去る。
源蔵夫妻が安堵するのも束の間、小太郎の母・千代が訪れ、松王丸も現れる。
松王丸夫婦は、小太郎を菅秀才の身代わりとして差し出し、
菅丞相への旧恩に報い、忠義を立てたのだった。
菅秀才が奥から出てきて松王丸に慰めの言葉をかける。
松王丸が外に合図を送ると、菅秀才の母・園生の前が現れ、親子の再会を喜び合う。
松王丸夫妻は白装束に改め、源蔵夫妻らと共に小太郎を弔う。
私のツボ
銀鼠の雪持松
梅王丸に続き、襲名公演にちなんでの松王丸三態。
「寺子屋」での松王丸の衣裳は黒地に雪持松（ゆきもちまつ）の刺繍が施された衣裳が一般的ですが、音羽屋型では銀鼠地に雪持松になります。
六代目菊五郎の発案とされています（五代目菊五郎の説もあり）。
黒地の衣裳だと立派に見えて目立ってしまうため、押し出しを和らげるため銀鼠地にしたと言われています。
総刺繍を織や染めに変更する等、衣装の質感や重量を変えるのではなく、
ボリュームは保ったままで彩度を下げるという発想が面白いなと思います。
確かに銀鼠地だと柔らかく、淡く、どこか儚げな印象も漂うようで、色の力は大きいと再認識します。
松緑さんの松王丸は音羽屋なので銀鼠の雪持松です。
仁左衛門さんの松王丸は黒地に雪持松でしたが、
数年前に観た舞台では銀鼠の雪持松でした。
勘三郎さん（十七世、十八世）も銀鼠の衣裳だったので
最終的には松王丸をつとめる役者が選ぶのかなと思います。
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